OUR WORK実例紹介

素材の対話が育む、光と趣味が交差する住まい

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Data
  • 家族構成

    ご夫婦
  • 区分/間取り

    マンション/1LDK+WIC
  • 面積

    65 ㎡
  • 築年数

    21 年
  • 内容

    リノベーション
  • 費用

    2000 万円
  • エリア

    東京都墨田区

素材の対話が育む、光と趣味が交差する住まい

リノベーションのきっかけは、2年前の冬に起きた突然のトイレの故障でした。
当時は「とにかく不便を解消したい」と、まずはFINDでトイレの交換工事を実施。
その際の丁寧な仕事ぶりが安心感に繋がり、それから約1年半後、
住み始めて20年という節目を前に「せっかくなら住まい全体を理想の形に整えたい」と改めてフルリノベーションのご相談をいただきました。
Webサイトでの出会いから始まり、最初の工事を経て育まれた信頼関係をベースに、こだわりを形にするプロジェクトが本格始動しました。 

今回の計画の核となったのは、かつては壁で区切られ「暗さ」が悩みだった北側の居室を、
光の巡る開放的な空間へと再構築することでした。
「ワンルームのように繋がり、回遊できる動線にしたい」というご要望をベースに、間取りを抜本的に見直し。
光を遮っていた壁を取り払い、視線が住まいの端から端まで突き抜けるような、明るく伸びやかな住環境を実現しました。

インテリアの主役は、ご夫妻が長年大切にされてきた「チーク材」の家具たちです。
このヴィンテージの質感を最大限に引き出すため、フローリング選びには特に時間をかけました。
あえて幅がランダムな材料を混ぜて並べることで、狙いすぎない「ラフな表情」を演出。
表面にはクリアのマット仕上げを施し、木の呼吸を感じる無塗装のような質感と、メンテナンス性を両立させています。

LDKの中心となるキッチンは、向きを180度刷新。
「料理をしながらテレビを見たい」という日常のワンシーンを大切にし、バルコニーからの光を背に受ける開放的な配置へと変更しました。
構造上動かせないパイプスペース(PS)も、収納棚の一部としてデザインに取り込むことで、空間のノイズを美しい造作へと昇華させています。

キッチンの側面や細部の仕上げについては、職人や設計担当者と現場で膝を突き合わせ、ミリ単位の調整を繰り返しました。
「木目の重なり方一つで、空間の質が変わる」という緊張感の中、時には率直な意見を戦わせることも。
そうした真摯なやり取りがあったからこそ、既製品には出せない、住まい手の感性に響くディテールが完成しました。

廊下と寝室の仕切りには建具を設けず、カーテンによる緩やかなセパレーションを採用。
洗面室の入り口も開放することで、以前は閉塞感のあった水回り周辺にまで、南からの柔らかな光が届くようになりました。
冬場も足元から温めてくれる床暖房の導入も、暮らしの質を底上げする大きなポイントです。

壁面の一部には、ご主人こだわりの鮮やかなグリーンをアクセントとして配置。
白を基調とした空間に、チークの家具と深みのある緑が調和し、まるで森の中にいるような静謐な空気が漂います。

「リノベーションを通して、自分たちの本当に好きなものが再確認できた」と語るご夫妻。
コンクリートの質感をあえて活かした天井や、20年以上使い続けている電子レンジさえもが、
新しく整えられた空間の中で新たな魅力を放っています。

「人生で3回はリノベーションをしないと満足できないと言うけれど、まずはこの家で、これからの変化を楽しんでいきたい」。
細部まで丁寧に向き合い、整えられた空間は、単なる「住まいの更新」を超え、ご夫妻の新しい物語を包み込む器となりました。