COLUMNコラム
- 2025.11.02
- マンションリノベーション
「リノベーション済みマンションは売れない」は本当?原因と売却成功のコツ
「リノベーション済みマンションが売れないといわれるのはどんな理由があるの?」
「リノベ済み物件は人気があると思っていたのに、なぜ?」
このような疑問やお悩みをお持ちではありませんか?
リノベーション済みマンションが売れないと言われる理由はいくつか考えられますが、その理由を正しく理解し、的確な対策を講じることで「売れない」を「売れる」に変えることは十分可能です。
この記事では、リノベ済みマンションが売れないといわれる理由と合わせて、購入検討者のニーズや売りやすくするポイント、チェックリストや注意点についてわかりやすく解説していきます。
目次
1.リノベーション済みマンションが売れないと言われる4つの理由
リノベーションによって内装が美しく生まれ変わっていても、思うように売れないケースは少なくありません。
その要因は購入検討者のニーズや価値観のズレなど売主が見落としがちなポイントにあります。
| 【リノベーション済みマンションが売れないといわれる理由】 ・個性的すぎる間取り ・デザイン・割高に感じられる売却価格 ・建物自体や管理状態に問題がある ・立地や住環境に魅力がない |
(1)個性的すぎる間取り・デザイン
リノベーション済みマンションがなかなか売れない理由のひとつに、個性的すぎる間取りやデザインが挙げられます。
リノベーションの醍醐味は自分の理想を反映させた自由な部屋作りにあり、自分好みに間取りや設備を変更できるのが最大の魅力です。
しかし、ライフスタイルや好みが明確に反映されたオーダーメイドであるがゆえに万人受けしにくく、当事者以外にはセンスや好みが合わないことも珍しくありません。
あまりに個性的な間取り・デザインは「自分たちには合わない」と判断され、購入の選択肢から外されてしまうことがあります。
(2)割高に感じられる売却価格
リノベーション済みマンションが売れにくい理由の一つに、一般的な中古マンションと比べて価格設定が高くなりがちな点が挙げられます。
マンション売却においては、相場を踏まえた価格設定は売却の成否を左右する重要なポイントです。
売主としては、中古マンションの相場にリノベーション費用を上乗せした金額を売却価格としたくなるのも当然です。
しかし、買い手側から見ると、同じ築年数の物件と比べてしまうことが多いため、リノベの価値に比べて価格が高いと感じてしまうケースも多いようです。
(3)建物自体や管理状態に問題がある
たとえ自分の部屋をリノベーションしても、マンション建物全体の老朽化や管理体制の問題があると、売却は難しくなりがちです。
特に購入検討者に敬遠されやすいのは、以下のようなマンションです。
| 【敬遠されるマンションの特徴】 ・築年数が古すぎるマンション ・積立修繕費や管理費が高いマンション ・共有スペースや外観の維持管理が行き届いていないマンション ・大規模修繕を控えているマンション |
築年数が古すぎるマンションは、将来の修繕や資産価値の低下を懸念し、購入希望者が購入をためらう大きな理由となります。
また、修繕積立金や管理費が高額であったり、共有スペースの劣化が目立つ場合も、購入希望者に不安を与えます。
特に、大規模修繕を控えている場合、購入後すぐに大規模修繕費用の負担が発生する可能性があるため、資金面での不安が増すことになります。
(4)立地や住環境に魅力がない
マンションの立地や住環境に魅力がない場合も、リノベーション済みマンションが売れにくい大きな要因となります。
| 【購入検討者が魅力を感じられないマンション例】 ・駅やバス停から遠くアクセスが悪いマンション ・駐車場や駐輪場がないマンション ・治安が悪いエリアにあるマンション など |
どんなにリノベーションで室内が美しく快適に生まれ変わっても、建物の立地や周辺環境の問題を解消することはできません。
特に近年は、利便性や安全性に加え、エリア・コミュニティの活気や将来性を重視する購入者が増えているため、立地や環境の魅力が乏しい物件は敬遠されやすく、売れにくい傾向が強まっています。
2.リノベーション済みマンションを購入する人のニーズとは?
リノベーション済みマンションを購入する人には、一般的な新築・中古マンションの購入者とは異なる特徴やニーズがあります。
スムーズに売却するためには、「なぜ売れにくいのか」という理由を把握するだけでなく、購入者がリノベーション済みマンションに求める価値や期待に応えることも重要です。
| 【リノベーション済みマンションを希望する人のニーズ】 ・自分達でリノベーションするのは面倒 ・立地・周辺環境が良いエリアにできるだけ低コストで住みたい ・室内が快適で現代的な設備が整っている部屋に住みたい |
(1)自分達でリノベーションするのは面倒
リノベ済みマンションを求める人は、新築のような綺麗さを持つリノベーション物件を魅力的な選択肢と考えます。
中古を買って同じようにリノベーションを行う場合、プラン計画や施工業者の選定、工事中の仮住まい探し、手続きなど、自分で計画から工事まで進めるのは多くの手間とストレスが伴います。
そうした煩雑なプロセスを避け、スムーズに新居で理想の暮らしを始めたい層から、リノベーション済みマンションは高い支持を集めています。
(2)立地・周辺環境が良いエリアに低コストで住みたい
新築マンションと比べて、立地の良さを妥協しなくても、手頃な価格で手に入るリノベーション済みマンションは非常に魅力的な選択肢となっています。
人気エリアや利便性の高い地域に住みたいと考える人は多いものの、そうした場所の新築マンションは価格が高騰しており、簡単には手が届かないのが現実です。
しかし、リノベーション済みマンションであれば、新築よりも現実的な価格で希望の立地に暮らすことが可能です。
(3)室内が快適で現代的な設備が整っている部屋に住みたい
リノベーション済みマンションは、新築のような住み心地によさや快適さを、より現実的な価格で手に入れられる選択肢です。
建物自体は中古であっても、リノベーションによって最新の設備や機能的な間取り、断熱、バリアフリーなど室内が快適な環境になっていれば、住みやすさは新築にも劣らない魅力的な物件となります。
3.リノベーション済みのマンションを売りやすくする5つのポイント
リノベーション済みマンションの売却には、購入検討者側の視点に立った戦略を立てることが不可欠です。
ここでは、リノベーション済みマンションの売却を成功させるために押さえておきたい5つのポイントをご紹介します。
| 【売りやすくするコツ】 ・万人受けする間取り・デザイン・設備にする ・売却価格を見直す ・購入時に売却を想定して魅力的な物件を選ぶ ・信頼できるリノベーション会社に依頼する ・マンション全体の管理状態や修繕計画をまとめておく |
(1)万人受けする間取り・デザイン・設備にする
将来的な売却を視野に入れているなら、リノベーション計画時に誰にでも受け入れられやすい間取りやデザインを選ぶことで売却時のリスクを抑えることができます。
具体的には以下のポイントをおさえると良いでしょう。
| 【売却を意識したリノベーションのポイント】 ・柔軟性の高い間取りにする ・清潔感のあるシンプルな内装にする ・評価や人気の高い住宅設備を取り入れる ・断熱・防音・バリアフリーなど住宅性能を向上させる |
子育て世代には、大きな部屋を間仕切りで二部屋にできるなど間取りをお子様の成長やライフステージに合わせて柔軟に変更できる間取りが人気です。
内装も個性的すぎる壁紙や奇抜な配色は敬遠される傾向があるため、ナチュラル・モダンなど受け入れられやすいテイストにするのがおすすめです。
他にも、断熱性や防音性、バリアフリーなどの住まいの性能強化は、長く快適に暮らせることを重視する層にとって大きな魅力になります。
(2)売却価格を見直す
リノベーション済みマンションの価格設定は、周辺の相場やリノベーション済みマンションの相場と比較し、根拠のある価格を設定することが重要です。
売り手側としては中古マンションの価格にリノベーション費用を上乗せして回収したくなるものですが、買い手側目線でみると割高・強気価格に見えて敬遠されやすいです。
「高く売る(元を取る)」よりも「確実に売れる価格」に設定することが、結果的に早期売却につながります。
(3)購入時に売却を想定して魅力的な物件を選ぶ
中古マンションを購入してリノベーションを検討する場合は、売却しやすい物件かどうかの視点も加えて物件選びをすることが非常に重要です。
マンションの立地や周辺環境、築年数、修繕などリノベーションでは変えられない要素ほど、資産価値と売却のしやすさに影響します。
どれだけ内装が魅力的でも、物件自体の価値や魅力が低ければ、リノベーション済みマンションは購入検討者から敬遠され、スムーズな売却は難しくなります。
将来、売却時に購入検討者にとって不安材料となるような要素がある物件を避けるのが賢明です。
(4)信頼できるリノベーション会社に依頼する
中古マンションのリノベーションの施工は信頼できる会社を選ぶことも重要なポイントです。
| 【施工会社選びのポイント】 ・中古マンションのリノベーション実績が豊富な会社 ・売却も考えたプラン提案をしてくれる会社 ・書類や記録を明確に開示・提出してくれる会社(工事内容・施工記録・保証内容など) |
まず、施工時には豊富な実績があり、口コミや評価でも高評価を得ている施工会社を選ぶことが基本となります。
実績が乏しい会社を選ぶと、経験不足により、仕上がりの品質や外観、耐久性に問題が生じやすく、それが売却時に大きなマイナス要因となる可能性があるためです。
また、将来的な売却も考えたプラン提案をしてくれる業者を選ぶことも重要なポイントです。
加えて、購入検討者に詳しく開示できるよう、リノベーションの内容を証明する関連書類をきちんと用意してくれる施工会社を選ぶことも売却成功の鍵となります。
(5)マンション全体の管理状態や修繕計画をまとめておく
マンションの管理状況や今後の修繕計画など共有部分に関する情報をあらかじめ整理して購入検討者に提示できるようにしておくことも、スムーズな売却につながるポイントです。
| 【購入検討者に開示する管理・修繕に関する情報例】 ・直近の修繕履歴 ・長期修繕計画書の有無 ・管理費や修繕積立金の金額と値上げ予定の有無 ・修繕積立金の残高・不足の有無 など |
マンションの現況は、リノベーションされた室内と同じくらい、購入検討者にとって重要な判断材料です。
自室部分の魅力だけでなく、建物全体の管理状況などについても丁寧に情報を開示することで、購入検討者に安心感を与え、円滑な売却へとつながるポイントとなります。
4.リノベーション済みマンション売却前のチェックリスト
売却しやすいリノベーションプラン・適切な価格設定・買い手への丁寧な情報開示など準備をしっかり整えておけば、リノベーション済みマンションの市場での競争力を高めることは十分可能です。
さらにスムーズに進められるよう、以下のチェックリストを活用して売却の成功率を高めましょう。
| 【チェックリスト】 ・物件に関連する書類・資料の準備 ・周辺の物件の価格調査 ・販売戦略の策定 |
(1)物件に関連する書類・資料の準備
売却前に物件に関連する書類・資料を揃えて購入検討者にスムーズに提示できるようにしておくことが売却成功の第一歩です。
| 【揃えておくべき資料】 ・リノベーション・物件に関連する書類・資料 ・施工会社に関する資料 ・マンション全体に関する書類・資料 |
リノベーション済みマンションの売却の際には「情報開示の姿勢」「透明性」が購入意欲を大きく左右する要素となります。
購入検討者に求められてから慌てて書類や資料を用意するようでは「何か隠しているのではないか」「トラブルがあるのでは?」と不信感を与えてしまう可能性があります。
関連書類を予め用意しておき、購入検討者の不安を減らすと同時に、物件や売主に対する信頼性を高めましょう。
(2)周辺の物件の価格調査
リノベーション済みマンションの売却価格は、相場感を重視して設定しましょう。
購入検討者は相場を重視するため、周辺エリアのリノベーション済み物件や類似物件の価格を事前に調査しておくことが重要です。
| 【物件相場の調べ方】 ・不動産会社が運営するポータルサイトで自分で調べる ・国土交通省「不動産取引価格情報検索」で調べる ・不動産流通機構(REINS)「REINS Market Information」で調べる ・一括査定サイトで複数の不動産会社に査定してもらう など |
妥当性のある価格を設定できれば、暮らしやすい間取りや最新の設備が整ったリノベーション済みマンションは非常に魅力的な物件となります。
(3)販売戦略の策定
情報開示と妥当な価格設定をしても、売り方が悪ければうまく売れないこともあるため、販売戦略を立てることも重要です。
| 【販売戦略】 ・有能な仲介会社を選ぶ ・内覧時に室内を整える |
まずは、「リノベーション済みマンション」という商品の価値や魅力をしっかりと理解し、的確にアピールできる、リノベーション物件の販売に強みと実績を持つ仲介会社を選ぶことが重要です。
実績豊富な仲介会社は、ターゲット層の絞り込みや効果的な宣伝方法を熟知しているため、購入検討者の目に留まりやすくなります。
5.リノベーション済みマンションを売却する際の注意点
最後に、リノベーション済みマンションを売却する際に覚えておきたい注意点を解説します。
リノベーション済みマンションは「売って終わり」ではありません。
売却に伴う税金やローン残債の扱いは、見落とすと後々トラブルにつながるため十分な注意が必要です。
| 【注意点】 ・売却時にかかる税金の確認 ・ローン残債の確認 |
(1)売却時にかかる税金の確認
マンションの売却で利益(譲渡所得)が出た場合、譲渡所得税が課税されます。
| 譲渡所得(売却益)=売却価格 −(取得費+リノベーション費用+諸費用) |
リノベーション費用や諸費用は証明できる領収書や契約書が必要となるため準備しておきましょう。
利益が出た分(譲渡所得)に対して譲渡所得税が課税されますが、課税率はリノベーション後の所有期間によって変わります。
| ・5年以下(短期譲渡所得):約39%(所得税30%+住民税9%、復興特別所得税含む) ・5年超(長期譲渡所得):約20%(所得税15%+住民税5%、復興特別所得税含む) |
特別控除が使えるケースもあるため、わからない場合は事前に税理士や不動産会社に確認しておくと安心です。
(2)ローン残債の確認
売却時にまだ中古マンションのローンが残っている場合、残債がいくらあるか正確に把握しておくことが重要です。
住宅ローンは物件を担保に設定していることが多いため、物件を売却する際に原則としてローンを完済して抵当権(担保権)を外す必要があります。
売却価格がローン残債を上回っていれば、ローンを完済して差額を手元に残すことが可能です、ローン残債のほうが高い場合は、差額を自己資金で補うか、買い替えローンを組む必要があります。
いずれにしても売却の際にはローンを組んでいる金融機関と連絡をとらなければならないため、売却の予定が決まったら早めに金融機関に連絡をしましょう。
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「リノベーション済みマンションは売れにくい」と言われていますが、購入検討者のニーズを理解し、適切な準備・対応を整えることで物件の安心感と魅力を高めることでスムーズな売却は十分に可能です。
神奈川県川崎市に本社を構えるFINDは、リノベーションやリフォームはもちろん、不動産売買の仲介、空間デザイン、ファイナンシャルプランニング、ホームインスペクションまでワンストップで対応しているリノベーション会社です。
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ライフディレクション事業部 設計チーム / 一級建築士 / 既存住宅状況調査技術者
