COLUMNコラム

クールネット東京とは?申し込み方法、補助金・助成金、注意点を解説

「クールネット東京って、どんなことをしてるの?」
「どんな補助金が使えるのか知りたい!」

このような疑問やお悩みをお持ちではありませんか?

クールネット東京では、エネルギーの自立利用を後押ししながら、CO₂排出を削減し、持続可能な都市づくりを目指して様々な取り組みを行っていますが、そのなかでも注目を集めているのが住宅に関する補助金・助成金制度です。

この記事では、クールネット東京の基本的な概要に加えて、住まいに関する補助制度の内容や申請時のポイントをわかりやすく解説します。

クールネット東京では多様な支援制度が用意されているため、「自分が対象となる事業があるか」をぜひ確認してみましょう。


目次

1.クールネット東京とは?

クールネット東京(正式名称:東京都地球温暖化防止活動推進センター)とは、東京における地球温暖化防止活動の拠点として、公益財団法人 東京都環境公社が平成20年4月1日に開設した機関です。

東京都における地球温暖化対策を推進し、脱炭素社会の実現を図ることを目的に、都民や事業者を対象に様々な取り組みを実施しています。

【クールネット東京の主な取り組み】
・省エネに関する啓発
・補助金・助成金
・研修・セミナー
・イベントの開催

中でも特に個人・家庭に深く関わるのが補助金・助成金事業です。

都民が東京で環境に良い省エネ設備や住宅を購入する際にさまざまな補助金・助成金が受けられます

【補助金・助成金の対象】
・発電システム(太陽光・再エネ)
・蓄電池
・地熱発電
・エコキュート・エコフィールなど
・住宅の断熱工事
・V2H など

具体的にどんな補助金・助成金が受けられるのか見ていきましょう。

2.クールネット東京「住まいに関する令和7年度個人・家庭向けの補助金・助成金」

クールネット東京では、「災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業」をメインに、省エネや創エネの普及と支援を目的に個人や家庭向けの補助金・助成金も数多く用意されています。

家庭における太陽光発電導入促進事業
家庭における蓄電池導入促進事業
既存住宅における省エネ改修促進事業
熱と電気の有効利用促進事業
戸建住宅におけるV2H普及促進事業
分譲マンション省エネ型給湯器導入促進事業
賃貸住宅の断熱・再エネ集中促進事業
(※「災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業」とは別事業)

これらの補助金を上手に活用することで実際の負担を軽減できるため、自分が対象となる制度がないかをぜひ確認してみてください

次に具体的に補助の対象工事や補助金額を見ていきましょう。

(1)家庭における太陽光発電導入促進事業

住宅への太陽光発電システム導入を支援する補助金制度です。

本体費用だけでなく、設置に必要な架台、防水工事に加え、パワーコンディショナの更新や無線設備に対する障害防止措置、リフォーム瑕疵保険への加入費用などが補助の対象となります。

太陽光発電システムは、スマートハウスにおける重要な設備のひとつです。

導入コストを抑えて設置したい方は、クールネット東京の補助制度の活用をぜひご検討ください。

助成対象補助金額
太陽光発電システム■新築住宅:
・3.6kW以下の場合:12万円/kW(上限36万円)
・3.6kWを超える場合:10万円/kW(50kW未満)■既存住宅:
・3.75kW以下の場合:15万円/kW(上限45万円)
・3.75kWを超える場合:12万円/kW(50kW未満)
架台設置経費(上乗せ)■新築住宅:
・戸建(陸屋根)の場合:対象外
・集合住宅(陸屋根)の場合:20万円/kW
■既存住宅:
・戸建(陸屋根)の場合:10万円/kW
・集合住宅(陸屋根)の場合:20万円/kW
防水工事 経費(上乗せ)■新築住宅:
・対象外
■既存住宅:
・戸建(陸屋根)の場合:18万円/kW
・集合住宅(陸屋根)の場合:18万円/kW
優れた機能性を有する太陽光発電システム(上乗せ)・建材一体型(屋根)を設置し、型式名に(型式、工法)の記載があるモジュールは、カッコ内の型式、工法と一致の場合のみ上乗せ(8万円)対象となります。
・周辺機器を設置の場合、優れた機能性を有する太陽光発電システム認定一覧の備考に記載がある【対応するパワーコンディショナ】を設置する場合のみ上乗せ対象となります。
リフォーム瑕疵保険(上乗せ)1契約当たり7,000円

※太陽光発電システムを設置する際に、新規で加入していること。
※保険加入者は助成対象者と工事請負契約を締結している事業者であること。

※引用元: クール・ネット東京│令和7年度 家庭における太陽光発電導入促進事業 災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業

スマートハウスについてさらに詳しく知りたい方はこちらの記事も合わせてご覧ください。

スマートハウスとはどんな住宅?代表的な3つの設備とメリット・デメリットを解説

(2)家庭における蓄電池導入促進事業

家庭における太陽光発電による電気の自家消費の増大及び非常時のエネルギー自立性の向上を目的として、蓄電池システムの設置にかかる費用に対する助成も行っています。

未使用蓄電池システム(太陽光発電の設置または再エネ電力契約が条件)や既存蓄電池のIoT化・ユニット増設も対象となります。

助成対象補助金額
蓄電池パッケージ(蓄電池システム)蓄電容量:12万円/kWh
蓄電池ユニット増設蓄電容量:8万円/kWh
デマンドレスポンス実証(DR実証)に参加する場合上記助成額に10万円の加算
エネルギーマネジメント機器及びIoT関連機器助成対象経費の1/2の額(上限10万円/戸)

※デマンドレスポンス実証に参加が必須。
リフォーム瑕疵保険等1契約当たり7,000円

引用元:クール・ネット東京│令和7年度 家庭における蓄電池導入促進事業 災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業

こちらの補助金は、太陽光パネル設置または再エネ契約が前提であり、都や公社の他助成金との重複はできません。

(3)既存住宅における省エネ改修促進事業

都内の既存住宅を断熱性や防犯性の高い設備へ改修費用に対して補助されます。

対象となるのは、高断熱窓・ドアや壁・床等の断熱化、高断熱浴槽や防犯断熱窓(CP部品)の設置です。

助成対象補助金額
高断熱窓・高断熱ドア工事により設置する対象製品の性能及び大きさに応じて、次のアからエまでの1か所又はガラス1枚当たりの合計額。(上限130万円/住戸)

(ア)内窓設置
(イ)外窓交換(はつり工法、カバー工法)
(ウ)ガラス交換
(エ)ドア交換
断熱材以下のうちいずれか小さい額
①助成対象経費の1/3 ※1,000円未満切り捨て
②1住戸当たり100万円
③国による補助金の交付を受ける場合にあっては、国の補助金交付額
高断熱浴槽以下のうちいずれか小さい額
①助成対象経費の1/3 ※1,000円未満切り捨て
②1住戸当たり9.5万円
リフォーム瑕疵保険1契約当たり7,000円

引用元:クール・ネット東京│(令和7年度)既存住宅における省エネ改修促進事業(高断熱窓・ドア・断熱材・浴槽)災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業

断熱性や防犯性を高めるリフォームに対して手厚い支援が受けられる内容となっているため、該当する方は確認しておくとよいでしょう。

(4)熱と電気の有効利用促進事業

家庭での「太陽熱」「地熱」「電気」などのエネルギーを効率的に活用することを目的に、住宅に太陽熱利用システムやエコキュートを設置する際、その導入費用の一部が補助される制度です。

未使用の太陽熱利用システムや地中熱利用システム、エコキュート・ハイブリッド給湯器、補助熱源器、ヒートポンプエアコンが対象となっています。

(A)熱と電気の有効利用促進事業

助成対象補助金額
太陽熱利用システム機器費、工事費の1/2(上限55万円/住戸)
地中熱利用システム機器費、工事費の3/5(上限180万円/台)
エコキュート等上限額・要件については、以下の(1)~(3)のとおり
(1)太陽光を使用して日中に沸き上げる機能を有している場合:14万円/台
(2)再生可能エネルギー100%電力メニューを契約し当該電力がエコキュート等を設置した住宅に供給されている場合:5万円/台
(3)DR実証に参加する場合:上記(1)、(2)に8万円を加算
リフォーム瑕疵保険助成対象

(B)太陽熱利用システム補助熱源機器更新及び地中熱利用システムヒートポンプ等更新事業

助成対象補助金額
太陽熱利用システム機器費、工事費の1/2(上限10万円/台)
地中熱利用システムヒートポンプ等の機器機器費、工事費の1/2(上限27.5万円/台)
リフォーム瑕疵保険1契約当たり7,000円

引用元:クール・ネット東京│令和7年度 熱と電気の有効利用促進事業 災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業

エコキュートの補助は市区町村が行っている補助金制度や国の「給湯省エネ2025事業」との併用は可能です。

(5)戸建住宅におけるV2H普及促進事業

戸建住宅に電気自動車・プラグインハイブリッド自動車用の「V2H」を導入することで、電気自動車と家庭間の双方向エネルギー利用を実現し、再エネの活用と停電時のバックアップ電源の確保を促進することを目的とする事業です。

ただし、共同住宅や集合住宅は補助の対象外となっているのでご注意ください。

助成対象補助金額
V2H機器費・工事費の1/2を補助(上限50万円)
太陽光発電設備とZEVを有する場合全額補助(上限100万円)
リフォーム瑕疵保険加入1契約につき7,000円

引用元:クール・ネット東京│【令和7年度】戸建住宅におけるV2H普及促進事業 災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業

V2Hは、家庭用蓄電池と同様にエネルギーを上手に利用する効果的な手段の1つです。

災害時に備えてエネルギーを自給自足できるシステムを構築したい方はぜひご利用ください。

(6)分譲マンション省エネ型給湯器導入促進事業

都内の既存分譲マンションにおけるエコジョーズ・エコフィールの導入促進を図る目的として、 エコジョーズ及びエコフィールの交換設置にかかる費用を助成する事業です。

エコジョーズは従来より少ないガス使用量で、エコフィールは従来より少ない灯油使用量で効率よくお湯を沸かす省エネ性の高い給湯器です。

未使用のエコジョーズ・エコフィールを分譲マンションにすることで最大10万円の補助金が受けられます。

助成対象補助金額
追い焚き機能つき、エコジョーズ/エコフィール1台当たり7万円
追い焚き機能のない、エコジョーズ/エコフィール1台当たり5万円
再生可能エネルギー電力メニューを導入している場合上記に加えて+3万円
リフォーム瑕疵保険加入1契約につき7,000円

引用元:クール・ネット東京│令和7年度 分譲マンション省エネ型給湯器導入促進事業 災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業

(7)賃貸住宅の断熱・再エネ集中促進事業

賃貸住宅の断熱・再エネ集中促進事業は、賃貸住宅にお住いの方向けに断熱性能向上や再エネ設備導入の促進を図る事業です。

災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業とは別の事業ですが、こちらも同様に高断熱窓・ドア、断熱材の改修に係る経費や再エネ設備導入に係る経費の一部の助成が受けられます。

賃貸にお住まいの方もこの制度を活用すれば、費用負担を抑えながら住まいの省エネ化や快適性を高めることができます

助成対象補助金額
高断熱窓対象経費の2/3(上限30万円/戸)
高断熱ドア対象経費の2/3(上限27万円/戸)
断熱材対象経費の2/3(上限60万円/戸)
省エネ診断等対象経費の10/10(上限120万円/棟)
省エネ診断用現況図面対象経費の10/10(上限10万円/戸)
太陽光発電システム■新築住宅(住宅建築と同時に設置する場合):
・発電出力が3.6kW以下の場合:54万円/棟 または 発電出力18万円/kWh
・発電出力が3.6kWを超える場合:発電出力15万円/kWh

■既存住宅:
・発電出力が3.75kW以下の場合:90万円/棟 または 発電出力30万円/kWh
・発電出力が3.75kWを超える場合:発電出力24万/kWh
太陽電池を設置するための架台陸屋根の集合住宅への太陽光発電システムの設置に加えて、発電出力+20万円/kWh
防水工事陸屋根の集合住宅への太陽光発電システムの設置に伴い架台を設置し、さらに、防水工事を施工する場合、加えて発電出力+18万円/kWh
機能性PV陸屋根の集合住宅への太陽光発電システムの設置に加えて、発電出力に最大+8万円/kWh
電力量計:7万円/戸
データ収集装置10万円/棟
蓄電池システム12万円/kWh(上限216万円/棟)

引用元:クール・ネット東京│賃貸住宅の断熱・再エネ集中促進事業

ちなみに、上記の事業の補助金と、東京都が直接進める令和7年度東京ゼロエミ住宅普及促進事業家庭のゼロエミッション行動推進事業(東京ゼロエミポイント)とは併用はできないのでご注意ください。

3.クールネット東京の補助金・助成金の申請の流れと注意点

クールネット東京の補助金・助成金を利用するには、正しい申請の流れを理解し、ポイントを押さえて進めることが重要です。

ここでは、申請手続きの基本的なステップをわかりやすく解説します。

簡単に言うと、「助成金の対象となる工事をします」と事前申し込みをし、承認されれば工事をスタート、工事終了後に「工事ができました」と報告して助成金の申請を行い、問題がなければ助成金が支払われるという流れです。

【申請の流れ】
1.「交付申請書」の事前申込(仮申請)
2.審査・交付決定→「交付決定通知書」発行
3.契約・工事着工
4.工事完了後に「助成事業実績報告書」提出
5.審査・交付決定→「助成金額確定通知書」発行
6.「助成金交付請求書」提出して助成金を請求
7.審査後に指定口座に入金

まず、助成金交付申請書や実施計画書、費用総括表、費用明細書などの必要書類を用意し、「交付申請書」をオンラインで提出します(事前申込)。

それをクールネット東京が審査し承認されると「交付決定通知書」が発行され、受領後に契約締結・工事をスタートします。

工事が完了した後は「助成事業実績報告書」を提出し、受理・審査・助成金額が決定されて「助成金額確定通知書」が発行されます。

それをもとに「助成金交付請求書」を提出し、受理されれば指定口座に助成金が入金されます。

4.クールネット東京の5つの注意点

クールネット東京の補助金をスムーズに受け取るために、申請前に確認しておきたい5つの重要なポイントをご紹介します。

【クールネット東京の注意点】
・他の補助金との併用の可否の確認・契約
・着工のタイミングに注意
・電子申請を推奨
・申請は同一名義にする
・早めの申し込みが必要

(1)他の補助金との併用の可否の確認

クールネット東京の補助金は、都が交付する本事業以外の助成金との併用できませんが、国や他自治体、民間事業者が提供する補助金制度と併用可能です。

ただし、都及び国の助成金の両方を受けとって、助成対象経費の2分の1を上回らないことが条件となります。

しかし、本事業を受給するためには事前申請などをしなければいけないため、自分一人で実施せずに、各制度の事務局や施工事業者へ事前に確認しましょう。

(2)着工のタイミングに注意

工事契約や着工は、交付決定通知(助成決定通知)を受けた後に行いましょう。

事前申込完了前に契約や工事を進めてしまうと、助成の対象外となるおそれがあります(2025年4~6月契約は特例措置として認められるケースあり)。

契約や工事を始める前に必ず事前申込を済ませておきましょう。

(3)電子申請を推奨

クールネット東京の補助金の申し込みは電子申請(オンライン)で行うのがおすすめです。

申請は紙もしくは電子申請で行うことができますが、紙の場合、郵送・受付・審査に時間がかかって交付決定が遅れるリスクがあります。

一方、電子申請であればデータ提出・審査・通知のやり取りが迅速に行われ、申請したものの進捗具合の確認もできます。

また、申請履歴で過去の申請内容の確認や再利用もできるので便利です。

ちなみに、事前申込と交付申請兼実績報告は同じ申請方式(電子 or 紙)に統一することも大事なポイントです。

(4)同一名義にする

クールネット東京の利用にあたっては、契約・申請・振込口座などはすべて同一名義で統一しなければなりません。

補助金の不正受給防止や審査の迅速化、手続きの簡易化のため、「契約した人」と「申請した人」、「補助金を受け取る人」が同一であることが求められるためです。

名義の不一致はトラブルのもとになるため、必ず事前に統一しておきましょう。

(5)早めの申し込みが必要

クールネット東京の補助金の利用を希望する場合はできるだけ早めに申請手続きを進めることが重要です。

クールネット東京の補助制度には各年度ごとに設定された予算枠があり、その範囲内で助成が行われます。

予算上限に達した時点で申請受付が終了となるため、予算の消化状況に注意しつつ、早めにお手続きをお済ませください。

クールネット東京を利用した新築・リノベならFINDにおまかせ

クールネット東京は「エコで快適な暮らし」を応援する東京都のプロジェクトです。

太陽光発電や蓄電池、断熱リフォームや省エネ家電の導入など、家庭や事業者向けの補助金・助成金制度が充実しており、地球にもお財布にもやさしいライフスタイルをサポートしています。

東京都で住まいをエコで快適に、そして省エネ化するならさまざまな補助金や助成金が受けられる今がチャンスです。

FINDは神奈川県川崎市に本社を構える、リノベーション、リフォーム、不動産売買仲介、空間デザイン、ファイナンシャルプランニング、ホームインスペクションまで行うリノベーション会社です。

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海老澤 知絵

ライフディレクション事業部 設計チーム / 一級建築士 / 既存住宅状況調査技術者