COLUMNコラム

どっちが得? 不動産を売却VSリフォームして賃貸

使用していない不動産物件は売却すべきか、あるいはリフォームして賃貸物件とするのがよいのか。究極の選択に頭を悩ませる人は意外に多いのではないでしょうか。こんなときは、どちらが得なのかを徹底的に深掘りして検討するのがお勧めです。

今回は、所有する不動産の活用方法について解説します。


目次

この記事のポイント

◎社会問題化する空き家問題。放置すれば大きなトラブルに発展することも
◎売却と賃貸、それぞれに多様なメリット・デメリットが存在する
◎判断に迷う場合は信頼できる地域密着の住宅会社に相談しよう

社会問題化する空き家問題。放置すれば大きなトラブルに!?

本題に入る前に、所有する不動産を放置しておいた場合のデメリットについて考えてみましょう。

最大のデメリットは、莫大な金額の損失・支出につながる可能性があることです。これに関して想定される内容は以下の通りです。
 ・税金
 ・資産価値の低下
 ・修繕費用
 
所有する不動産にかかる税金には固定資産税、都市計画税があります。標準税額は前者が固定資産税評価額×1.4%、後者が同×0.3%です(税率は各市町村で異なる)。複数の住まいを所有する場合は、持ち家の数だけこれらの税金を支払う義務が生じます。また、不動産を相続した場合には相続税が課せられます。
 
住宅の資産価値は、住みはじめてすぐに低下します。住んでいても価値は下がりますが、人の住んでいない住宅の劣化・老朽化は特に激しいため、資産価値の下落はどんどん加速します。
 
修繕費用とは、景観や治安の悪化防止に必要となる費用のことです。戸建てが空き家になった場合、敷地にゴミや廃棄物を不法投棄されることがあります。そのゴミから異臭や害虫が発生するケースが多いため、ゴミの回収や壁の落書きなどの修繕費用は所有者の負担になります。また、近年は空き家の不法占拠が社会問題化しており、地域住民や行政から空き家を放置しないように申し立てられるケースもあります。
 
こうしたリスクを回避するため、オーナーは物件を売却するか、リフォームして賃貸物件として再生するかなどの何らかの選択を迫られることになるのです。

売却できれば大きな利益になることも。開発地域にある場合は巨額のゲインも

まず、不動産を売却した場合のメリット・デメリットを考えてみましょう。

売却による最大のメリットは、当然ですが売却益を得られること。売却の際には仲介手数料や抵当権抹消等登記費用、修繕費用(必要に応じて)といった支出が伴いますが、手続きが完了した時点で税金や修繕費、管理費などの支払い義務はなくなります。
また、不動産の売却には所有期間の長短に関係なく譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる特例があります。ただし、この控除を受けるには細かく定められた要件を満たす必要があるので、国税庁のHPを参照することをお勧めします。

デメリットは、いつ売れるのか不透明であること。不動産物件において、賃貸と購入のニーズはまったく異なります。売却すると決めたのに購入希望者がなかなか現れないというケースもあります。
また、物件の周辺環境もしっかりチェックしたい要素の一つです。再開発地域などに組み込まれている場合は地価上昇が見込めるため、急いで売却すると大きな利益をゲインできなくなる可能性があります。

安定した収入を確保できるのが賃貸のメリット。今後は利用者減への対応が必要に

次に不動産物件を賃貸にした場合のメリット・デメリットを考察してみましょう。
 
現状のまま賃貸物件として貸し出せるなら問題ありませんが、設備が古くなっていたり汚れが目立っていたりする場合にはリフォームやクリーニングが必要です。
 
こうしたリフォーム費用に加えて不動産会社への仲介手数料、管理委託費、管理費・修繕積立金(マンションの場合)、税金(固定資産税・都市計画税)などの支出が生じます。
 
支出はありますが、賃貸のメリットは豊富です。主なメリットには…

①不動産物件を資産として所有できる、②継続的に家賃収入が得られる、③住宅ローンを完済している場合には所有する不動産を担保に融資を受けられる、などがあります。
 
賃貸収入は所得税の課税対象になりますが、先に挙げた支出の数々を経費として計上できるため、節税効果を見込めるという副次的なメリットもあります。
 
賃貸にした場合の最大のデメリットは、入居者が決まらないと収入を得られないこと。少子高齢化による人口減に加えて、リモートワークの推進により人口密集地に引っ越さなくても仕事ができる環境整備が進んだことで、賃貸物件の利用者が少なくなる可能性も出てきました。
 
こうした事情を勘案して、身元が不確かでも受け入れるといった策を講じると、家賃滞納や騒音、ゴミ問題といったさまざまなトラブルに巻き込まれるリスクが生じます。収入の確保とリスクのバランスをしっかり検討する必要があります。

売却か賃貸か、判断がつかない場合は信頼できる地域密着の住宅会社に相談

複数の不動産を所有する場合、空き家となっている物件を売却して大きな利益を獲得するか、あるいはリフォーム後に賃貸物件として継続的に収入を得るのかはとても悩ましい問題です。
 
これまで見てきたように、どちらにも多くのメリット・デメリットが存在します。また、物件の現状や立地条件次第で物件の価値判断に大きな差が出ることもお分かりいただけたと思います。
 
とくに大きな影響を与えるのが立地で、主要駅からの距離や今後の開発状況なども含めて売却するか、賃貸にするかを考える必要があります。
 
どちらを選ぶのか判断がつかない場合は、地域に密着した住宅会社に相談するのがお勧めです。例えば、空間のリノベーションを通じて豊かな暮らしを届けるFINDには不動産の専門部署があり、不動産の売却や有効活用のアドバイスなど多様なニーズに対応しています。
 
地域に関する情報も隅々までチェックしており、不動産物件の立地条件に沿った最適なプランをご提案できます。
所有する不動産を有効活用したいなら、ぜひFINDにご相談ください。

海老澤 知絵

ライフディレクション事業部 設計チーム / 一級建築士 / 既存住宅状況調査技術者