COLUMNコラム
- 2025.08.03
- リノベーションの知恵
リノリウムってどんな床材?特長やおすすめの設置場所を解説

「最近人気のリノリウムってどんな床材?」
「リノリウムの床ってどんな場所に使うと良いの?」
このようなお悩みをお持ちではありませんか?
近年の環境意識や衛生意識の高まりから、自然由来の成分で作られたリノリウムの価値や魅力が再度見直されリノベーション時にリノリウムを用いる人が増えています。
そこで本記事では環境に優しい床材として人気のリノリウムについて、特長やメリット・デメリット、おすすめの設置場所や注意点を解説します。
そのほか様々な床材について知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
▸Design & Accent ~ 床材後編/暮らしにあわせた床材の選び方~
目次
1.リノベーションで人気の素材『リノリウム』とは

機能性・デザイン性を兼ね備えたリノリウムは、現代のリノベーションにもマッチする理想的な自然由来の床材です。
素材や歴史の説明と共に、マーモリウムや塩ビとの違いも解説します。
(1)リノリウムとは
リノリウムは、リノリウムの「リノ」の語源となる亜麻仁油(あまにゆ)に、ロジン(松脂)、石灰岩など自然由来の成分を混ぜて作られたシート状またはタイル状の床材の一種です。
【リノリウムの原料】 ・亜麻仁油 ・ロジン(松脂) ・ジュート(リノリウムの裏打材) ・石灰岩 ・木粉 ・色素 |
リノリウムの歴史は意外と古く、1860年代にイギリスで発明されたもの。
1920年代以降は学校や病院、公共施設などさまざまな場所の床材として主に用いられていましたが、安価な塩ビ製の床材が登場した1950年代以降はあまり使われなくなっていました。
しかし、近年、欧米を中心に環境配慮型素材としてリノリウムが再評価され、日本でもリノベーション時にリノリウムを採用する人が増えています。
(2)マーモリウムとリノリウムの違い
「マーモリウム(marmoleum)」とは、オランダ・Folbo(フォルボ)社製リノリウム床材の製品名です。
現在、日本国内ではリノリウムの製造メーカーは存在せず、一般で流通しているリノリウムはすべて輸入品です。
中でも、日本で最も広く使われているのがこの「マーモリウム」であり、実質的に『日本におけるリノリウム=マーモリウム』と考えて差し支えありません。
(3)塩ビとリノリウムの違い
リノリウムによく比較されるのが、塩化ビニル(PVC)、いわゆる「塩ビ」です。
塩ビの床材とは、ポリ塩化ビニル(PVC)を主成分とする床材を指し、水気や汚れ・傷に強く、掃除が簡単な特長があり、リノリウムに比べて安価な床材です。
リノリウムと塩ビは、一見似た床材に見えますが、その成分や性能には大きな違いがあります。
2つの床材の違いを理解することで、それぞれの特性を活かせる場所を見極め、適材適所で選びやすくなります。
リノリウム | 塩ビ | |
原料 | 天然素材 | 合成樹脂(ポリ塩化ビニル) |
環境負荷 | 低い(生分解・再生可能・低VOC) | 高い(製造・廃棄時にVOCや有害物質を発生) |
衛生面・効果 | 抗菌・抗ウイルス・防カビ効果などがある | なし(加工で対応可) |
耐水性 | やや弱い | 高い。水回りに最適 |
傷に対する耐性 | やや弱い | 傷・摩耗にも強い |
耐久性 | 長持ち(20~40年)。摩耗しても見た目が長持ち | 10~20年程度 |
メンテナンス | 定期的なシーリングやワックス、こまめな水気除去が必要 | 簡単 |
価格 | やや高い | 安価 |
施工性 | DIYに不向き。専門的な技術等が必要 | DIYでも可能 |
このように、リノリウムは、環境への配慮や自然素材を重視する方や清潔さ・衛生面を重視するリノベーションに最適です。
目的や設置場所、価値観に応じてリノリウムと塩ビを使い分けることで、両者の特性を最大限に活かしましょう。
2.リノリウムのメリットとデメリット

次にリノリウムのメリット・デメリットについて見ていきましょう。
床材としてのリノリウムに対する理解が深まり、活用シーンも見えてきます。
(1)リノリウムのメリット
リノリウムには塩ビ材にはない様々なメリットがあります。
【リノリウムのメリット】 ・自然由来の成分で作られており、低アレルゲン ・高い生分解性を持ち、環境負荷が低い ・抗菌性・抗ウイルス性・防カビ性がある ・脱臭効果(アンモニア臭)がある ・ハウスダスト除去効果がある(静電気が起こりにくい) ・耐久性が高い ・静音性がある ・弾力があり足腰への負担を軽減できる ・滑りにくい ・見た目・質感がナチュラルで、温かみがある |
天然素材のリノリウムは、有害な化学物質を放出せず、室内の空気を清潔に保ちます。
さらに、抗菌・抗ウイルス・防カビ・脱臭効果で環境を衛生的・快適に保ってくれるのも大きなメリットです。
リノリウムは静電気が起こりにくい素材のため、ほこりやハウスダストが床面にたまりにくく、清潔な環境を維持しやすいことから、アレルギーをお持ちの方にもおすすめです。
また、素材にクッション性があり衝撃吸収性が高いため、タイルやフローリングなどの素材と比べると足腰への負担を軽減でき、さらに滑りにくいので室内での転倒防止にも役立つ床材です。
上記のような高い性能に加え、リノリウムは自然な風合いと豊富な色・柄が揃っているので家族の集まる場所に温かみと居心地の良さをプラスできます。
(2)リノリウムのデメリット
衛生面・快適性・安全性を重視する室内空間づくりに役立つリノリウムですが、デメリットもあります。
【リノリウムのデメリット】 ・長時間の水気に弱い ・傷に弱い ・紫外線に弱い ・こまめなメンテナンスが必要 ・合成素材(塩ビ)よりも値段が比較的高い ・DIYには不向き(施工難易度が高い) |
リノリウムの最大の弱点は水に弱いことです。
水に濡れると反りやシミが発生しやすいため、こまめに拭き取り、撥水性のあるワックスを塗布することで劣化を抑えるなどこまめなメンテナンスが必要となります。
また、天然成分を圧縮した薄く硬めのシートであるリノリウムは、塩ビやフロアマットに比べて扱いにくいという面もあります。
正確な計測や裁断や折り曲げ、設置時には専用工具や高度な技術が必要であるため、手間と技術、時間がかかります。
リノリウムはDIYには不向きな素材であるため、リノベーションで採用する際はプロに依頼するのが美しく長持ちさせるためのベストな選択といえるでしょう 。
3.使う場所で変わる!リノリウム床のメリットと注意点

リノリウムは、家族全員の健康と快適さを考慮した床材として強くおすすめできる選択肢です。
その特長やメリット・デメリットを理解した上で、リノリウムに適した場所に使うのが賢い活用法です。
次に設置場所別にメリットと注意点を1つずつみていきましょう。
・リビング・ダイニング ・水回り(キッチン・トイレ・洗面所) ・寝室 ・子供部屋 ・高齢者の部屋 ・玄関・廊下 ・ペットとの暮らし |
(1)リビング・ダイニング
自然な質感・温かみがあり、抗菌性や抗ウイルス性が高いリノリウムは、家族が集まるリビングやダイニングにもってこいの素材です。
また、ホコリがたまりにくく、清潔な状態を保ちやすいことから、アレルギーが心配なご家庭にもおすすめ。
さらに、静音性も高いため、戸建て住宅だけでなく階下への配慮が不可欠であるマンションのリノベーション時にも最適です。
ただし、傷や圧痕にはやや弱い性質から、ソファやテーブル、本棚などの重い家具を置く場合はフェルトパッドなどで脚元を保護するのが効果的です。
また、紫外線により変色することがあるため、日当たりの良い場所ではUVカットのカーテンや窓フィルムでガードすることをおすすめします。
こうした工夫を加えることで、リノリウムの優れた快適性を維持しつつ、デメリットを補うことができます。
(2)水回り(キッチン・トイレ・洗面所)
リノリウムは長時間の水分に弱い性質があるため、水回りに使用する場合は注意が必要です。
水気による反りやシミ、変色や膨らみを防ぐため、こまめに水をふき取り、定期的に水をはじくワックス掛けをするなどメンテナンスが必要となります。
キッチンでは水や油が床に飛ぶことも多いため、キッチンマットの使用が不可欠です。
また、リノリウムはアンモニア臭の消臭効果が高い性質からトイレの床材にも適していますが、使用する際はトイレマットを敷くと良いでしょう。
ただし、洗面所や脱衣所など水に触れる機会が多くなる場所では、リノリウムよりも、水や湿気に強く、劣化しにくい塩ビやタイル系の素材を使用する方が無難です。
(3)寝室
抗菌・抗ウイルス性だけでなく静音性のあるリノリウムは寝室との相性も良い床材です。
また、リノリウムは静電気が発生しにくく、ホコリが床に付着しにくい特性を持っているため、布団などホコリが出やすい寝室においても清潔な環境を保ちやすいのも魅力です。
ダニやホコリなどハウスダストによるアレルギーや喘息などの疾患が気になる方にもおすすめです。
ただし、圧痕や傷を防ぐため、重い家具(ベッドやチェストなど)の足部分にはフェルトシートなどを付けるようにしましょう。
(4)子供部屋・高齢者の部屋
子供部屋にも天然素材のリノリウムは最適な床材です。
高い抗菌性・抗ウイルス性に加え、有害な化学物質を排出せず、ハウスダスト対策もできるため、子供のアレルギー・過敏症を気にせず安心して用いることができます。
デザインや色のバラエティも多いので、子供の趣味や好みで選ぶとより居心地の良い部屋作りができることでしょう。
また、ややマットな質感で滑りにくく、柔らかめの素材であることから、足腰への負担軽減や転倒・ケガのリスク低減もできるため、抵抗力や筋力・体力の落ちている高齢者の部屋の床材にもおすすめです。
ただ、水に弱いリノリウムに飲み物・食べ物のこぼしは厳禁です。
こまめな拭き取りと定期的な撥水ワックスなどのメンテナンスが必要です。
(5)玄関・廊下
耐摩耗性の高いリノリウムは、適切なメンテナンスを行えば40年近く使えるとされており、出入りが多い玄関や廊下にも適している床材です。
また、表面がフラットで素材的に静電気を発生しにくいため、室内外のホコリや汚れが集まりやすい玄関や廊下の掃除もしやすい上に、消臭効果により靴のニオイ対策にも最適。
木目調や石目調などデザインのバリエーションも豊富で、住まいの第一印象が決まる重要なスペースである玄関の印象づくりにもぴったりです。
ただし、外から持ち込んだ砂や土、雨による水滴で表面が汚れやすいので、玄関マットや定期的なワックスで保護が必要です。
(6)ペットとの暮らし
滑りにくさ・クッション性・抗菌防臭性・静電気軽減といった機能を兼ね備えたリノリウムはペットと暮らすご家庭にふさわしい床材です。
滑りにくく感触が柔らかいため、ペットの足腰・爪への負担やケガのリスクを軽減できます。
また、抗菌・防臭効果によりよだれや排泄物などによる雑菌や悪臭の発生を抑制するので、床を清潔に保つことができます。
さらに、静電気が発生しにくくペットの毛やほこりがくっつきにくいため、毎日の掃除も簡単です。
良いコンディションでリノリウムの床を長持ちさせるためには、ペットの爪切りやトリミング、トイレのしつけなどをしっかり行い、粗相があった時にはすぐに処理するようにしましょう。
4.リノリウムを用いた事例|洗練されたジャパンディな空間

最後に、築19年のワンルームをリノベーションで床材にリノリウム(マーモリウム)を採用した実例をみてみましょう。
スタイリッシュでジャパンディな要素を取り入れた室内は、シンプルながらも洗練された雰囲気が漂う落ち着いた空間となっています。
ベッドスペースを一段上げ、カーテンで緩やかに仕切ることで、狭いワンルームでも空間にメリハリと広がりを感じさせる設計です。
継ぎ目がなくナチュラルなリノリウム床シートは、抗ウイルス効果や脱臭効果も備えている優れもの。
壁紙や家具と合わせた落ち着いたトーンのリノリウムが空間に一体感を与え、スタイリッシュな雰囲気をさらに引き立てています。
クッション性と静音性を兼ね備えたリノリウムにより、リビング兼ワークスペースとしても活用しやすく、仕事効率アップにつながる落ち着いた環境を実現したリノベーションです。
費用 | 1,500万円 |
家族構成 | 一人暮らし |
築年数 | 19年 |
面積 | 45.01 ㎡ |
区分/間取り/リノベーション内容 | ワンルーム/全面リノベーション |
(出典:FIND)
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ライフディレクション事業部 設計チーム / 一級建築士 / 既存住宅状況調査技術者