COLUMNコラム

マンションの購入は築30年が狙い目?リノベーションで好みの内装に

築30年以上のマンションは、販売価格の安さが魅力のひとつです。予算内で理想のマイホームを手に入れるため、古いマンションを購入し、リフォーム・リノベーションするケースも見られます。ただ、なかには建物自体の老朽化や定期メンテナンス・修繕状況、耐震性などに不安を感じる方もいるでしょう。そこで今回は、築30年以上の中古マンションを購入するメリットと注意点、リノベーションする際のポイントをご紹介します。


目次

築30年のマンションを購入するメリットと注意点

築30年の中古マンション購入には、どういったメリットがあるのでしょうか。ここでは、築30年のマンションを住まいにするメリットと意識したい注意点を解説します。

メリット

価格がリーズナブルで価値が下落しにくい

鉄筋コンクリート造のマンションにおける法定耐用年数は、47年とされます。この年数を目安にマンション購入・マンション売却を検討する方も見られます。しかし、不動産の資産価値は、歳月とともに下落することが特徴です。厳密にいうと、新築から築10年にかけて大きく下落し、10年から20年までは下がり幅が緩やかになることが一般的です。そして、築20年以降の不動産価値は上がりも下がりもせず、ほぼ一定となります。

不動産会社や販売エリアに左右されるものの、築30年のマンションの不動産価値は「底値」を迎えている場合が大半です。そのため、新築マンションに比べて販売価格がリーズナブルで、抑えられた費用をリノベーション代などに充当できるメリットがあります。首都圏をはじめとする立地の良いエリアの物件も、予算内で購入できるかもしれません。

また、購入後、極端な不動産価値の下落が起こりにくいのも魅力です。将来手放すことも考えているなら、立地条件が良い中古マンションを購入し、できるだけ損失を抑えるのもひとつの選択肢といえます。

マンションの管理状況を把握しやすい

新築マンションの場合、人が住み始めたばかりだったり、共有面積の劣化具合の見通しが立たなかったりします。一見してマンションの管理状況を把握できず、今後適切に保守・管理される保証がありません。管理状態によっては、通常よりも早く不動産価値が下落する可能性もあるでしょう。

長期修繕計画にしたがって修繕積立を行い、建物の老朽化や性能維持に努めるのはオーナーの責務です。新築マンションにおいては、修繕履歴などがないため、「本当に管理してくれるの?」と心配になる場合があります。

反対に中古マンションは、築年数に応じた管理・整備実績があります。大規模修繕の実施履歴、修繕積立金のプール状況から、マンションの管理状況を把握しやすいメリットがあります。

注意点

セキュリティ対策に不安のあるマンションもある

新築マンションには、防犯カメラやオートロック、電子錠などの「マンションセキュリティ」を採用しているところがあります。入居者自身もセキュリティ対策を重視する傾向にあり、これらの防犯対策は、標準装備が当たり前となりました。

一方、築30年以上のマンションのなかには、建築当時のマンションセキュリティを使い続けているところもあります。管理組合が新たにセキュリティシステムを導入することもありますが、当時の設備をそのまま使っているケースも珍しくありません。

原則、共用スペースにおけるセキュリティ関連の設備やシステムは、個人で変更できない決まりです。さらに各住戸のセキュリティの変更には、管理組合の許可が必要となります。物件によっては、セキュリティ対策に不安を感じるかもしれません。

設備がトレンドに合わせて作られていない

マンションのみならず、住宅性能やデザイン、各種設備にはトレンドが存在します。築30年以上のマンションは、当時のトレンドを採用しているため、現代人のライフスタイルや入居ニーズにマッチしない可能性があります。

特に注意したいのが、キッチンや浴槽などの設備です。キッチンの場合、かつては旧式のI型キッチンが主流でした。築30年以上となると、家族の顔が見える対面キッチンが設置されている家は少ないかもしれません。また、築30年以上のマンションでは、浴室がタイル貼で“※バランス釜”を設置している場合もあります。現在はユニットバスが主流であり、浴槽が狭く感じたり、清掃性が悪かったり、水圧の弱さが気になったりする可能性があるでしょう。

ただし、共有スペースを除くマンション設備は、個人でリノベーション可能です。キッチンや浴槽など、古いものを最新の設備に交換できます。ケース・バイ・ケースではあるものの、リノベーション前提で購入する場合は、気にならないポイントといえます

※……バランス釜:昭和後期の団地・マンションに採用されていた自然給排気式のガス風呂釜

築30年のマンションをリノベーションするときのポイント


マンションリノベでは、設備の寿命や工事可能な範囲などを確認しておきましょう。ここでは、築30年のマンションをリノベーションする際に意識したいポイントを解説します。

配管設備の寿命

最初にチェックすべき点は、ライフラインである配管設備の寿命です。一般的な設備配管類の耐用年数は20~30年であり、必要に応じて改修工事を行います。配管の破損は水漏れ・ガス漏れといったトラブルの引き金となるため、リノベーションに合わせて対処しましょう。なお、コンクリート内に配管設備が埋まっているマンションの場合、改修工事が困難になります。

リノベーションできる範囲の把握

一戸建てとは違い、リノベーション可能な「範囲」がさだめられています。通常、入居者個人が所有し、リノベーションできる範囲は「専有部分(専有面積)」のみです。マンションの管理規約によりますが、共用部分(共有面積)は多くの場合、リノベーションできません。なお、一般的なマンションの専有部分および共用部分の一例は、次の通りです。

*専有部分:内装全般・天井・浴槽やトイレなどの設備・玄関ドア(内側)
*共用部分:構造躯体・配管を通すスペース・サッシ・バルコニー・玄関ドア(外側)

実際には、リノベーション可能な範囲は物件ごとに異なります。マンションの管理組合や管理会社に確認し、ルールを守ってリノベーションしましょう。

マンションの建築構造

マンションの建築構造には、「ラーメン構造」と「壁式構造」の2種類があります。リノベーション時に間取り変更を行う場合、事前に建築構造を確認しましょう。各構造の特徴は次の通りです。

ラーメン構造

ラーメン構造とは、梁(はり)と柱を一体化させた長方形の骨組みです。後述する壁式とは違い、「耐力壁」がないことから、間取り変更を含めたリノベーションに適しています。

壁式構造


壁式構造は、4枚の耐力壁と床、天井の6面で構成される骨組みです。建物を「面」で支えるため、耐震性の高い構造となります。ただし、耐力壁を取り払えない構造上、間取り変更などのリノベーションは難しいこともあります。

築30年以上のマンションのリノベーション事例

リノベーション事例1

内容詳細
間取りRC造/ 1LDK+WIC
床面積67㎡
築年数46年
リノベーション内容マンションリノベーション
リノベーション費用850万円

築46年の中古マンションをリノベーションした事例です。元々の間取りは1LDKでしたが、家具のレイアウトや家族のライフスタイルに合わせて1LDK+WICに変更しました。広々とした空間を演出するために、キッチンはあえてI型を採用。素材感を可能な限り活かし、コストを抑えつつ家族の理想的な空間を形にした事例です。

リノベーション事例2

内容詳細
間取り1LDK+WIC
床面積85㎡
築年数53年
リノベーション内容マンションリノベーション
リノベーション費用850万円

「美術館のようなヴィンテージマンション」をコンセプトに、モノトーンを基調とする洗練された空間にリノベーションしました。仕切りにアルミフレームのガラス引き戸を採用し、広くてスッキリとした空間に仕上がっています。また、床材にはコンクリートよりも温かみがあり、モダンな印象を与えるモールテックスを使用しています。

リノベーション事例3

内容詳細
間取り1LDK
床面積95㎡
築年数36年
リノベーション内容マンションリノベーション
リノベーション費用970万円

築35年の中古マンションをおしゃれ空間にリノベーションした事例です。依頼主様が「家族の気配を感じられるような空間」をご希望されたため、各部屋がシームレスにつながる1LDK+WIC+SICの間取りに変更しました。涼やかな風が通り抜ける、開放的な家族空間に仕上がっています。

築30年のマンションを活用して、よりお得にリノベーションを

“マンションリノベ”を前提とした築年数の長い中古マンションの購入は、費用面をはじめとした複数のメリットがあります。これから物件のリノベーションを検討している方は、一度中古マンションに目を向けてみてはいかがでしょうか。当社では、物件探しから各種手続きの代行申請、リノベーションまで一括サポートする「ワンストップリノベーションサービス」をご提供しております。住宅ローンや固定資産税など、お金に関するお悩みもご相談可能です。興味のある方は、ぜひFINDにお問い合わせください。

笠原 圭一郎

ライフディレクション事業部 設計チーム マネージャー / 二級建築士 / キッチンスペシャリスト