COLUMNコラム

【コンペ提案解説】敷地の特性を生かした外構計画の思考プロセス


目次

はじめに

今回は、FIND設計チームで応募した『柏の葉新店舗 GARDEN COMPETITION』のプレゼン内容をご紹介します
コンペのテーマは『建築と外構の共創拠点』です。地域や利用者との接点を生み出し、街の風景として長く存在し続ける空間の提案が求められておりました。コンセプト・外構計画・プレゼンシートに分けてご紹介いたします。

1.コンセプト

今回考えたコンセプトは『HEART GROUND』
提案を考えていく中で、柏の葉の街の風景となる外構計画がどうあるべきかを考えました。
私たちは、街の歴史を遡り柏の葉ならではの地域性を捉えることで、デザインを組み立てていきました。


戦時中は関東ローム層の地盤が広がっており、滑走路として利用されていた”柏の葉”。
その後は農民の移転住宅地として暮らしを支え、 現在は公園・大学・研究機関が集まる未来都市へと変化しています。
このようにダイナミズムな変化をしてきた柏の葉を、その『変化を受け入れる文化や心を持っている場所』として捉え、『HEART GROUND』をコンセプトとしました。

2.外構計画について

スケッチを描いて検討をスタート。
コンセプトの『HEART GROUND』を表現するため、プランを描く際に以下を重視しました。

◆形状の抽象化 
→単純なハート形状では無機質になるため、街の景観や多様な心の形を反映したデフォルメ形状へ展開。
◆構成するルールの確立 
→ハート形状として認識できるよう、4つの頂点を設定し、それらをつなぐルールを採用。
◆グランドカバーの選定 
→グランドカバーには苔・シダを用い、柔らかく自然的な質感を表現。
◆地域の文脈を移す素材選定 
→ローム層を彷彿とさせる赤土を採用し、力強い原風景を表現。
◆可変性のある空間設計 
→多目的に使えるイベントスペースの確保。

3.プレゼンシート

プレゼンシートは2枚で構成しました。
1枚目はパース/コンセプト/で提案のイメージとコンセプトを伝える資料としました。
・パースはデザインイメージと空間の広がりを伝えやすくするために、ダイナミックに配置。
・コンセプトでは時代とともに変化を受け入れてきた歴史と重ね合わせ、人々を暖かく迎え入れる「HEART GROUND」に至る経緯を説明。
・1946年と2026年の柏の葉の航空写真で過去と現在の街の状況を比較。

2枚目は平面図、立面図、使用する植栽リストで構成しました。

平面図はA~Fの6つのエリアに分けて、多様な庭の表情を一ヵ所で体感できる”外構のショールーム”としての機能を表現しました。
・A 散策路のような庭
・B 赤土の映えるイベントスペース
・C 人を迎え入れる芝桜をシンボルとしたハート型の庭
・D 楓により四季の変化を感じられる庭
・E 和風の小庭
・F 角の小さなスペースに自然の美しさを詰めた盆栽のような空間。

植栽計画は幹が細く美しい落葉樹である(ヒメシャラ、アオダモ)をメインで採用し、アクセントに芝桜、楓、竹、ジューンベリーを選定しています。特に実がなる樹木(ジューンベリー)を採用することで、1年を通して収穫や変化を通した季節感を取り込みます。

立面図では建物と樹木のスケールを提示。下の枝はカットして視線の抜けと開放感を確保。残した上部の枝は夏の日差しを遮り、冬の温かい陽光を取り込みます。

おわりに

今回は、柏の葉に位置するオフィスの外構デザインコンペについてお話をしました。
FINDでは住宅の枠を超えて、多様な領域に挑戦しておりますが、
「家のようにリラックスできる空間」や「心からくつろげる居場所」がもらたらす価値は、住宅にとどまりません。日々の大半を過ごすオフィスや、人々が集う店舗、安心感が求められる福祉施設のような非住宅の領域にこそ、住まいづくりで培った『人の心に寄り添うデザイン』が必要とされていると考えています。

笠原 圭一郎

ライフディレクション事業部 設計チーム マネージャー / 二級建築士 / キッチンスペシャリスト