COLUMNコラム
- 2025.06.02
- リノベーションの知恵
リノベーションで固定資産税は上がる?変わらない・下がる場合も紹介

「リノベーションすると固定資産税が変わるって本当?」
「どんな内容だと固定資産税が上がってしまうの?」
このようにお悩みではないでしょうか?
住まいに新しい価値を与えて、より暮らしやすく快適にするリノベーションを行いたいけれど、それによって固定資産税がどうなるか不安という方も少なくありません。
そこで本記事ではリノベーションによって固定資産税がどうなるかを、ケースごとに解説します。
固定資産税は毎年払うものであり、その金額は家計やライフプランに大きく関わるものであるため、リノベーションを行う際は固定資産税への影響も踏まえてプランを立てるようにしましょう。
目次
1.リノベーションの内容や規模によって固定資産税が変わることがある

建物にかかる固定資産税は、固定資産税評価額(課税標準額)に基づいて算出され、この評価額は3年ごとに見直されます。
そのため、リノベーションによって固定資産税が変わるかどうかは、リノベーションが建物の課税標準額に影響を与えるかどうかにかかっています。
また、建物の課税標準額に影響があるかどうかは、リノベーションに建築確認申請が必要かどうかが一つの判断基準となり、建築確認申請の要否は工事の規模や内容によって異なります。
マンションや戸建てを問わず、リノベーションの内容によっては固定資産税が変わる可能性があるため、工事前に確認しておくことが大切です。
リノベーションの内容・規模 | 固定資産税 |
大規模リノベーション・スケルトンリノベーション | 上がる |
耐震化・省エネ・バリアフリーリノベーション | 下がる |
建築確認申請が不要な小規模リノベーション | 変わらない |
2.固定資産税とは?建築確認申請書とは?

リノベーションの内容や規模によって固定資産税が変わる可能性があることをお伝えしました。
ここでは、リノベーションと固定資産税の関係を正しく理解するため、関連する基本用語について説明します。
・固定資産税とは? ・建築確認申請書とは? |
(1)固定資産税とは?
固定資産税とは、所有する固定資産(土地・建物)に対して、固定資産税評価額に応じて市町村が課税する税金です。
毎年1月1日時点で不動産を所有している人に対して課税され、計算に基づいて出された税額は通常4~6月頃に届く納税通知書に記載されます。
固定資産税は以下の計算式で求められます。
【建物の固定資産税の計算方法】 固定資産税=固定資産税評価額(建物と土地の課税標準額)×1.4%(地域によって税率が異なる) |
固定資産税評価額(建物の課税標準額)=建物の評価額が変われば、それに応じて課税される固定資産税額も変動することになります。
(2)建築確認申請書とは
建築確認申請書とは、建築基準法に基づき、建物が法令(高さ制限、用途地域、建ぺい率、容積率、耐震基準など)に適合しているかを確認・審査するための書類です。
建築確認申請書は主に住宅を新築するときや大きな増改築、大規模修繕をする際に提出する必要があります。
申請書には、建物の構造・規模・用途などが詳細に記載されており、その内容は固定資産税の評価にも反映されます。
そのため、リノベーションが建築確認申請の対象となるかどうかは、固定資産税が増減するかどうかを左右する重要なポイントとなります。
3.固定資産税が上がる可能性のあるリノベーション

住まいに大規模なリノベーションを行う場合には建築確認申請が必要となるため、固定資産税が上がる可能性があります。
これらのリノベーションを検討している場合は、固定資産税が上がることを想定しておきましょう。
・増改築によって床面積が増えるリノベーション ・住宅の目的が変わるリノベーション ・主要構造部に関わる大幅なリノベーション |
(1)増改築によって床面積が増えるリノベーション
増改築によって床面積が増えるリノベーションでは、固定資産税が上がる可能性があります。
住まいの床面積が増えるリノベーションは、建築確認申請と不動産登記が必要となり、その結果、建物の課税標準額も変更となって固定資産税が上がりやすくなります。
【具体例】 ・2階の増築 ・新しい部屋の増築 ・ガレージ等の増設など |
(2)住宅の目的が変わるリノベーション
従来の建物を住居以外の用途に変更するリノベーションでも固定資産税が上がる可能性が高いです。
たとえば住宅用の建物を店舗用の物件に変更するなどのリノベーションが挙げられます。
小規模住宅用地(課税標準額の6分の1)や一般住宅用地(課税標準額の3分の1)などの住宅に適用されていた固定資産税の特例がなくなるためです。
【具体例】 ・住宅を店舗にするリノベ ・住宅を事務所にするリノベ |
(3)主要構造部に関わる大幅なリノベーション
主要構造部に関わる大規模なリノベーションも固定資産税が上がるケースが多いです。
たとえば建物を支える柱や壁を含めて大きく手を加えることで住宅性能も上がるリノベーションが対象となります。
柱・梁などの主要構造部を残して大規模にリノベーションを行うスケルトンリノベーションやフルリノベーションなどで、住まいの耐久性や機能性が向上する工事を行う際は建築確認申請が必要となります。
【具体例】 ・間取りの大幅な変更 ・床、壁、天井、建具、断熱材などの全面改装など |
4.固定資産税が下がる可能性のあるリノベーション

リノベーションによって固定資産税が下がるケースもあります。
住まいの安全性やエコを高めるリノベーションを行うことで固定資産税が減額されます。
・耐震補強リノベーション ・省エネ化リノベーション ・バリアフリー化リノベーション |
減額措置対象のリノベーションは税金の金額面以外に住宅としてのメリットも多いため、リノベーションを行う際はこれらの工事を組み込むことも検討しましょう。
(1)耐震補強リノベーション
建物に耐震補強を行うリノベーションでは固定資産税が下がる可能性があります。
旧建築基準法で建築されている建物や耐震性に問題のある建物に耐震補強を行うリノベーションには固定資産税の減額措置が設けられています。
具体的には、昭和57年1月1日以前から所在する家屋に対し、現行の耐震基準に適合する耐震改修工事を行うなどの条件を満たした場合について、翌年度分の固定資産税が2分の1に減額されます。
【具体例】 ・筋交いや構造用合板などの耐力壁の追加 ・鉄筋コンクリートを巻くなど基礎の補強 ・接合部の補強金具の設置 ・屋根の軽量化 など |
耐震補強のリノベーションによる固定資産税の減額措置を受けるための要件・必要書類は以下の通りです。
適用条件 | ・昭和57年1月1日以前から所在する家屋であること ・現行の耐震基準に適合する耐震改修であること ・耐震改修工事費が、50万円(税込)を超えていること ・店舗等併用家屋の場合、床面積の2分の1以上が居住用であること ・改修工事を令和8年3月31日までに行っていること |
必要書類 | ・固定資産税減額申告書 ・工事請負契約書の写し ・耐震改修の費用が確認できる書類 ・増改築等工事証明書・住宅耐震改修証明書または住宅性能評価書 |
固定資産税の減額措置を受けるためには、工事完了日から3ヶ月以内に必要書類を市区町村の窓口に提出しましょう。
(参照:国土交通省: 耐震改修に係る固定資産税の減額措置)
(2)バリアフリー化リノベーション
建物をバリアフリー化するリノベーションでも固定資産税が下がることがあります。
トイレ・バスルームの改良やスロープの設置などのバリアフリー化を行うリノベーションは、固定資産税の減額措置を受けられ、税額が下がる可能性があります。
新築後10年以上を経過した家屋に対して、一定のバリアフリー改修工事を行った場合について、翌年度分の固定資産税から3分の1が減額されます。
【具体例】 ・通路や出入り口の拡張 ・階段設置 ・手すり設置 ・段差解消 ・滑りにくい床への変更 など |
バリアフリー化のリノベーションによる固定資産税の減額措置を受けるための要件・必要書類は以下の通りです。
適用条件 | ・条件に該当する減税申請者が居住している家屋であること (65歳以上の者・要介護認定又は要支援認定を受けている者・障がいを持っている者) ・新築されてから10年以上が経過した家屋であること賃貸住宅ではない家屋であること ・バリアフリー改修工事に要した費用から補助金等を差し引いた額が、50万円(税込)を超えていること ・バリアフリー改修後の床面積が登記簿表示上で50㎡以上280㎡以下であること ・店舗等併用家屋の場合は、床面積の2分の1以上が居住用であること ・改修工事を令和8年3月31日までに行っていること |
必要書類 | ・固定資産税減額証明書 ・介護保険の被保険者証の写し等適用対象者であることを証明する書類 ・バリアフリー改修の費用が確認できる書類 ・補助金等を受けている場合は、当該金額が明らかな書類 |
減額措置を受けるには、工事完了日から3ヶ月以内に必要書類を市区町村の窓口に提出しましょう。
(参照:国土交通省:バリアフリー改修に係る固定資産税の減額措置)
(3)省エネ化リノベーション
建物に省エネ化を施すリノベーションも固定資産税が下がる可能性があります。
窓や床、天井、壁の断熱工事や太陽光発電の設置など自宅を省エネ化するリノベーションにも固定資産税の減額措置が設けられており、固定資産税が下がる可能性があります。
平成26年4月1日以前から所在する家屋に一定の熱損失防止改修工事(省エネ改修工事)を行った場合について、翌年度分の固定資産税から3分の1が減額されます。
【具体例】 ・窓・床・壁・天井の断熱改修工事 ・高効率空調機の設置 ・高効率給湯器の設置 ・太陽熱利用システムの設備設置 ・太陽光発電の設置など |
省エネ化のリノベーションによる固定資産税の減額措置を受けるための要件・必要書類は以下の通りです。
適用条件 | ・省エネ改修後の断熱部位が、いずれも平成28年基準を新たに満たしていること ・平成26年4月1日以前から所在している家屋であること ・賃貸住宅でない家屋であること ・省エネ改修工事に要した費用から補助金等を差し引いた額が、60万円(税込)を超えていること ・床面積が登記簿表示上で50㎡以上280㎡以下であること ・店舗等併用家屋の場合は、床面積の2分の1以上が居住用であること ・改修工事を令和8年3月31日までに行っていること |
必要書類 | ・固定資産税減額証明書 ・増改築等工事証明書 ・補助金等の交付を受けている場合は、金額が明らかな書類 |
減額措置を受けるには工事完了日から3ヶ月以内に必要書類を市区町村の窓口に提出してください。
(参照:国土交通省:省エネ改修に係る固定資産税の減額措置)
5.固定資産税が変わらないリノベーション

建築基準法で定められた対象外となる軽微な工事や、構造に影響を与えない範囲の模様替え・改修工事などのリノベーションは、建築確認申請が不要=建物の課税標準額が変わらないため、固定資産税も変わりません。
・原状回復を目的としたリノベーション ・建築確認申請が不要な小規模なリノベーション |
(1)原状回復を目的としたリノベーション
原状回復を目的としたリノベーションでは、固定資産税は基本的に変わりません。
たとえば湿気や水漏れによる水回りの修繕、外壁の劣化など、住まいの経年劣化にともなう問題を解消する工事は、建物の機能や価値を元の状態に戻すものとみなされます。
今後も問題なく住み続けるために「建物の価値が元に戻る」だけであるとみなされることから、建物の評価額が上がることがないためです。
【具体例】 ・内装の模様替え ・屋根の補修 ・柱や梁の補修 ・外壁の塗り直し ・洗面台やキッチンの配管工事や交換など |
(2)建築確認申請が不要な小規模なリノベーション
建築確認申請が不要な小規模なリノベーションは、固定資産税に影響はありません。
間取りの変更や柱・梁・壁・屋根などの主要構造部に触れないリノベーションは、建築確認申請の対象外となっており、このような工事は建物の課税標準額に反映されず、固定資産税にも影響が出ないのが一般的です。
【具体例】 ・非構造壁の撤去 ・建物の用途を変えないリフォーム ・10㎡以内のサンルームの設置など |
物件の資産価値を上げるリノベーションの事例やポイントについて以下の記事でも解説しています。
6.マンションや戸建てのリノベーションによる固定資産税への影響の違い

マンションか戸建てかに関係なく、リノベーションによる固定資産税の増減は工事内容に左右されます。
ただし、戸建ては増改築などのリノベーションをしやすいことから、工事内容によって評価額の見直し対象になりやすく、固定資産税が変わる可能性が高い傾向があります。
一方、建物の一部を所有しているマンションは、構造に手を加えるリノベーションや大規模なリノベーションはできないため見直し対象になりにくく、固定資産税に影響がないことも多いです。
しかし、壁の撤去といった構造に手を加える大規模リノベーションを行う場合など固定資産税に影響がでるケースもありますので、マンションのリノベーションであっても事前にリノベーション会社に相談することをおすすめします。
リノベーションならFIND
リノベーションによって固定資産税がどれくらい変わるのかを正確に把握するのは困難ですが、実施するリノベーションの規模や内容を考慮することである程度コントロールすることは可能です。
FINDは神奈川県川崎市に本社を構える、リノベーション、リフォーム、不動産売買仲介、空間デザイン、ファイナンシャルプランニング、ホームインスペクションまで行うリノベーション会社です。
FINDではその家に暮らす人が快適に過ごせるように生活スタイルや動線も踏まえて使いやすくて便利なリノベーションを提案しています。
さらに、住まいの安全性についても十分に考慮し、ご家族が安心して暮らせるよう住まいづくりはもちろんのこと、気になる固定資産税などにも配慮したプランニングを行っています。
経験豊富なプランナーがチームとなって人が満足できる家作りを行っていくため、安心してお任せください。

ライフディレクション事業部 設計チーム / 一級建築士 / 既存住宅状況調査技術者