COLUMNコラム
- 2025.10.05
- リノベーションの知恵
コンバージョンとリノベーションの違いとは?費用や事例などを徹底解説

「コンバージョンっていったいどんなもの?」
「リノベーションとの違いや費用感を知りたい!」
このような疑問やお悩みをお持ちではありませんか?
古くなった建物に新たな価値を与える方法として注目されているのが「コンバージョン」と「リノベーション」です。
この2つは一見似ているようですが、実は目的や手法、費用、得られる効果などに大きな違いがあります。
この記事では、コンバージョンとリノベーションの違いを明確にしながら、メリット・デメリット、具体的な事例や費用感まで、徹底的に解説していきます。
目次
1.コンバージョンとリノベーションの違いとは

コンバージョンとリノベーションは、どちらも古い建物を壊さずに再利用する方法ですが、それぞれ目的や手法が異なります。
ここでは、両者の概要や具体例をわかりやすく紹介します。
(1)コンバージョンとは
コンバージョンとは、既存の建物の用途を大幅に変え、全く異なる目的で使用される建物に作り替える改修工事を指します。
例えば、以下のようなケースが挙げられます。
【コンバージョンの具体例】 ・使われていない倉庫をオフィスや住宅にする ・廃校をシェアハウスやホテルにする ・空き店舗やオフィスを賃貸住宅にする ・古民家をカフェやギャラリー、ショールームにするなど |
「建物をより住みやすい環境にすること」を目的とするリノベーションとは異なり、コンバージョンは使われていなかった建物の再利用による新たな価値創造や有効活用、商業的価値の向上などを目的に行われるケースが多いです。
(2)リノベーションとは?
リノベーションとは、既存の建物の用途を変えることなく、間取りの変更や設備の変更など現代のニーズに合わせて性能やデザインを向上させ、暮らしやすい住まいに作り替える改修工事です。
例えば、以下のようなケースが挙げられます。
【リノベーションの具体例】 ・間取りの変更(壁を取り払う/増築するなど) ・最新のキッチンや浴室などへの設備交換 ・断熱性や耐震性の強化 ・太陽光発電や蓄電池の設置 ・手すりやスロープの設置などバリアフリー化など |
住む人の好みや年齢、家族構成に合わせて古い住まいを現代のライフスタイルに適した形に変えていくのがリノベーションの大きな魅力です。
(3)リフォームと、コンバージョン・リノベーションとの違い
リフォームは、既存の建物の用途を変えることなく、経年劣化や汚れなどで古くなった部分を補修・交換し、新築時の状態に近づける原状回復を目的としています。
リフォームとコンバージョンは、建物の使い道(用途)を変えるかどうかに決定的な違いがあります。
なお、建物をそのまま活かす点でリフォームとリノベーションは混同されやすい用語ですが、明確な違いがあります。
リフォームは劣化部分の修繕や使い勝手の改善を目的とし、比較的短期間・低コストで可能ですが、リノベーションは暮らしやすさや資産価値の向上を目的とするため、リフォームより大がかりな計画と費用が必要になります。
リフォームとリノベーションの違いについてさらに詳しく知りたい方は次の記事もご覧ください。
▸リノベーションとリフォームの違いとは?選び方や工事例を紹介
2.コンバージョンとリノベーションの主な相違点

コンバージョンとリノベーションにはさまざまな違いがあります。
それぞれのポイントについてさらに具体的に見ていきましょう。
コンバージョン | リノベーション | |
建物の用途 | 変更する | 変更しない |
目的 | 住まい・店舗・ホテルなど別の用途への変更 | 住まいの機能や性能の向上 |
費用相場 | 〇倉庫→住宅にする場合 ・500~2,000万円 (内訳) ・内装工事のみ:約500万円程度 ・インフラ整備・断熱工事など:約500~1,500万円程度 ・法的手続き費用:数万円 | 〇全面(フル)リノベーション ・マンション:700~1,500万円 ・戸建:1,500~2,500万円 〇スケルトンリノベ ・マンション:700~1,500万円 ・ 戸建:1,500~2,500万円 |
規模 | 大規模になることが多い | 中規模~大規模 |
工期 | 6カ月~1年以上 | 1~6カ月程度 |
法的手続き | 多い | 比較的簡単 |
(1)建物の用途・目的の違い
リノベーションとコンバージョンはどちらも既存の建物を活かす手法ですが、用途・目的には明確な違いがあります。
コンバージョンは、建物の用途を変更し、これまでの用途・目的とは違う形に生まれ変わらせ新たな価値や役割を与えることを目的としています。
例:使われなくなった倉庫を住居に改修する、旧校舎をシェアオフィスやホテルに転用する |
一方、リノベーションは、建物の用途を変えずに、間取りや内装、設備などを一新し、暮らしやすさや住まいの性能の向上を目的に行うものです。
例:古い実家を現代のライフスタイルに合わせて改修し、快適な住空間へと創り変える |
(2)費用の違い
コンバージョンとリノベーションは費用面でも違いがあります。
コンバージョンは、建物の用途変更に伴い、大がかりな構造・設備の追加が必要になる場合は費用は高額になりやすいです。
例えば、倉庫を住宅にコンバージョンする場合、建物の状態が良好で内装を整えるだけで済むケースであれば約500万円程度で可能ですが、住宅としての機能を満たすために水回りの新設などを行うと、追加で500〜1,500万円程度が必要になることも珍しくありません。
一方、リノベーションは、住まい用に作られた建物の既存の構造を活かして改修するため、費用は比較的抑えやすい傾向があります。
リノベーションには、住まい全体を刷新する「全面リノベーション(フルリノベーション)」と、柱や梁などの構造躯体だけを残して一からつくり直す「スケルトンリノベーション」、キッチンや浴室だけを直す「部分リノベーション」といった形があります。
内容・グレード・建物の状態によって異なりますが、700万円〜2,500万円程度が相場です。
全面リノベーション(フルリノベーション)とスケルトンリノベーションについて、さらに詳しく知りたい方は次の記事もご覧ください。
▸フルリノベーションはいくら必要?実例5選やメリット・デメリットを紹介
▸スケルトンリフォームとは?メリット・デメリットと費用の相場
(3)規模・工期の違い
規模や工期も建物の用途変更の有無で大きく変動します。
コンバージョンは建物の用途そのものを変更する大規模工事となり、さらに、法的手続きも必要となることがあるため、リノベーションよりも時間がかかることが多いです。
小規模な用途変更であれば6か月〜1年程度、大型施設のコンバージョンや複雑な用途変更の場合は1年以上かかるケースもあります。
一方、リノベーションは間取りや内装、設備の変更など工事の規模は限定的となるため、工期も比較的短期間で完了する傾向があります。
水回り・内装などの部分的なリノベーションであれば1〜2か月程度、スケルトンリノベを含むフルリノベーションであれば3〜6か月程度が目安です。
(4)法的手続きの違い
建物の用途変更の有無の違いにより、法的手続きの点でも大きな違いがあります。
リノベーションの場合、用途変更がないため法的手続きは基本的に不要です。
一方、用途変更を伴うコンバージョンでは、多くの場合、建築基準法上の「用途変更確認申請」など各種法令への対応が求められます。
建物の規模や用途区分によっては申請が不要なケースもありますが、実務上は法的手続きが必要になります。
コンバージョンに関連する法的手続きの例 | |
用途変更確認申請(建築基準法) | 建物の主要構造部分に影響を及ぼす工事を伴わなくても、延べ面積200㎡を超える用途変更の場合は原則必要。 |
建築確認申請 | 用途変更に加えて大規模な改修工事を行う場合や、増築・構造変更を伴う場合に必要。 |
都市計画法・用途地域の確認 | 住宅地にある建物を飲食店やホテルなどに変える場合に必要。用途地域によってはそもそも転用が認められない場合があります。 |
消防法関連の手続き | 住宅から飲食店や宿泊施設など、不特定多数が出入りする用途に変更する場合に必要。 |
建物の用途に合わせた関連法令への手続き | ホテルや民泊:旅館業法に基づく許可 飲食店:食品衛生法に基づく営業許可 福祉施設:介護保険法や障害者総合支援法に基づく指定 など |
申請から許可までに時間がかかるためスケジュールに余裕を持った計画が求められます。
また、手続きが複雑であるため建築士や行政書士など専門家との連携も必須となります。
3.コンバージョンのメリットとデメリット

次に、リノベーションや新築と比較しながら、住む目的で建物のコンバージョンを行う際に押さえておきたいメリット・デメリットについてご紹介します。
(1)コンバージョンのメリット
【メリット】 ・不要となった建物に新しい目的や価値を与えられる(有効活用できる) ・新築と比べると、コスト・工期を抑えられる ・建設が難しいエリアにも建てられる ・環境負荷を抑えられる ・既存の建物の価値を再利用できる(レトロ感・昭和感など) |
コンバージョンの最大のメリットは、既存の建物を新しい用途に生まれ変わらせることで無駄なく資産を有効活用できる点にあります。
新築と比べてコストや工期、環境負荷の低減などのメリットもあります。
さらに、倉庫や蔵の趣を活かした住宅、カフェ・オフィスなど既存の設備と好立地を活用した住宅など、元の建物の雰囲気や特長を活かした独自性のある空間を創り出すことができます。
コンバージョンは他にはない魅力的で独創的な住まいを実現できることも大きな魅力です。
(2)コンバージョンのデメリット
【デメリット】 ・リノベーションと比べて、費用・工期がかかることが多い ・法規制・手続きが多い ・申請料・専門家への報酬などプラスαの費用がかかる |
コンバージョンは、新築と比べると費用や工期を抑えられますが、リノベーションと比べると、結果的に費用や工期がかかりやすいのが最大のデメリットです。
リノベーションと比べてコンバージョンでは、用途を全く異なるものに変更するため、水回りや電気などのインフラ整備、断熱・遮熱工事など多岐にわたる工事が必要となるためです。
また、リノベーションに比べて法的手続きが複雑になるため、計画段階から慎重な検討と資金計画、そして余裕を持ったスケジュール管理が求められる点も注意が必要です。
さらに、申請に必要な手数料のほか、申請書類の作成や手続き、各種調整を専門家に依頼する場合は数十万円程度の報酬が発生します。
これらの費用も計画段階から必要経費として見込んでおくことが重要です。
4.コンバージョンとリノベーション、どちらを選ぶべき?
コンバージョンとリノベーションのどちらも、既存の建物を活かすことで、単に新しい建物を建てるよりもコストや工期を抑えられるだけでなく、環境や資源に配慮した持続可能な住まいや空間づくりを実現する賢い選択です。
それぞれにメリット・デメリットがあるため、どちらを選ぶかは「何を目的にするか」「どの程度の予算や期間を見込めるか」によって判断するとよいでしょう。
具体的には、既存の住まいの間取りや設備・デザインを一新し、快適性や安全性・機能性を高めたい場合は、カスタマイズしやすい「リノベーション」が適しています。
【リノベーションがおすすめの人】 ・現状の建物の用途を変えず、間取りや設備、デザインを一新して快適性や機能性を高めたい人 ・比較的短期間で予算をかけずに大幅な質の向上を目指したい人 ・ライフスタイルやライフステージ、好みに合わせて自由に住まいをカスタマイズしたい人 |
一方、倉庫を住宅にしたり古民家をカフェにするなど、通常とは違う建物を利用してオリジナリティを強く出したい・まったく異なる目的で活用したい場合には、「コンバージョン」が適しています。
ただし、コンバージョンは用途変更に伴う法的手続きや工事が多くなり、費用や期間もかかりやすいため、計画と資金に余裕を持って臨むことが重要です。
【コンバージョンがおすすめの人】 ・現状の建物の用途を変えて、異なる目的で活用したい人 ・建物を新たな用途で生まれ変わらせ、大きな価値向上やビジネスチャンスを狙いたい人 ・用途変更に伴う法的手続きや工事の期間の長期化を理解し、十分な時間と予算を準備できる人 |
それぞれの特徴や注意点を理解した上で、自分の目的や状況に最も合った選択をすることが、満足度の高い住まいや空間づくりにつながります。
どちらにすべきか迷ったときは、専門家に相談し、プロの視点を借りるのも賢い方法です。
コンバージョンとリノベーションのことならFINDにおまかせ
コンバージョンとリノベーションは、どちらも既存の建物に新たな価値や魅力を吹き込む、環境にもやさしい有効な手法です。
ただし、それぞれにメリット・デメリットがあるため、ご自身やご家族の目的やライフスタイルに合わせて最適な方法を選ぶことが大切です。
FINDは神奈川県川崎市に本社を構え、リノベーション・リフォームをはじめ、不動産売買仲介、空間デザイン、ファイナンシャルプランニング、ホームインスペクションまでをワンストップで手がけるリノベーション会社です。
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ライフディレクション事業部 設計チーム / 一級建築士 / 既存住宅状況調査技術者