COLUMNコラム
- 2026.06.07
- リノベーションの知恵
増改築等工事証明書とは?住宅ローン減税など必要なケース・費用を解説
「増改築等工事証明書って何?」
「住宅ローン控除やリフォームの減税に必要って聞いたけど、何を用意すればいいの?」
そのようなお悩みをお持ちではありませんか?
増改築等工事証明書は、住宅の増改築やリフォーム工事が、住宅ローン減税や各種税制優遇の対象となる条件を満たしていることを証明するための書類です。
確定申告や固定資産税の減額申請など、減税制度を利用する際に必要となるケースがあります。
そこで本記事では、増改築等工事証明書の基礎知識から、必要となるケース、取得の流れや費用、注意点までわかりやすく解説します。
目次
1.増改築等工事証明書とは?
増改築等工事証明書とは、住宅の増築やリフォーム工事が、所得税の住宅ローン減税や固定資産税の軽減などの税制優遇の適用条件をクリアしていることを証明する書類です。
確定申告時などにこの証明書を提出することで、一定の条件を満たした住宅の工事について各種税制優遇の適用を受けられる場合があります。
そのため、減税制度を活用してリフォーム費用の負担を軽減したい場合には、工事内容が対象となるか、証明書を発行できるかどうかなど事前に確認しておくことが重要です。
(出典:国土交通省 住宅リフォームの減税制度において使用する証明書(増改築等工事証明書・住宅耐震改修証明書)
2.増改築等工事証明書はどんな時に必要?
増改築等工事証明書が必要となるのは、主に次のような税制優遇を受けるタイミングです。
ここでは、制度ごとに具体的な内容を解説します。
| 制度 | 内容 | 対象工事例 |
| 住宅ローン減税(特定増改築等住宅借入金等特別控除) | 10年以上のローンを利用して一定の増改築・リフォームを行った場合、年末時点の住宅ローン残高に応じて所得税や住民税の控除を受けられる制度 | ・耐震改修 ・バリアフリー改修 ・省エネ改修 ・一定規模以上のリフォーム など |
| 住宅のリフォームに関する所得税の特例(省エネ・バリアフリー改修など) | ローン利用の有無にかかわらず、一定の性能向上リフォームを行った場合に所得税の控除を受けられる制度 | ・断熱改修などの省エネリフォーム ・手すり設置などのバリアフリー工事 ・耐震改修 ・子育て対応リフォーム など |
| 住宅取得等資金の贈与税の非課税措置 | 父母や祖父母からリフォーム資金の贈与を受けた場合、一定額まで贈与税が非課税になる制度 | ・省エネ性や耐震性など、一定の性能基準を満たす住宅リフォームが対象 |
| 固定資産税の減額措置 | 一定のリフォーム工事を行うと、翌年度分の固定資産税が減額される場合がある | ・耐震改修 ・バリアフリー改修 ・省エネ改修など |
(1)住宅ローン減税(特定増改築等住宅借入金等特別控除)
増改築等工事証明書は、住宅ローン減税(特定増改築等住宅借入金等特別控除)を受ける際に必要となります。
住宅ローン減税は、年末時点の住宅ローン残高に一定の控除率を掛けた金額が所得税から控除される制度です。
基本的な計算式は次の通りです。
| 控除額 = 年末の住宅ローン残高 × 控除率(原則0.7%) |
この制度を利用するには確定申告を行う必要があります。
申告書に控除額などの必要事項を自分で入力(記載)し、その際に住宅の増改築やリフォームが要件を満たしていることを証明する書類として増改築等工事証明書を添付または提出します。
(2)住宅のリフォームに関する所得税の特例(省エネ・バリアフリー改修など)
住宅のリフォームに関する所得税の特例は、一定の省エネ改修やバリアフリー改修などの工事を行った場合に、工事費用の一部が所得税から控除される制度です。
この制度では、住宅ローン残高ではなく、実際の工事費用をもとに控除額が計算されます。
控除対象額や上限額は制度によって異なりますが、基本的な考え方は次の通りです。
| 控除額 = 対象となる工事費用 × 一定の控除率(または上限額の範囲内) |
たとえば、省エネ改修やバリアフリー改修などの対象工事を行った場合、その工事費用の一部が所得税から控除されます。
この制度を利用する場合も確定申告を行う必要があります。
申告書には控除額などの必要事項を自分で入力(記載)し、その際に工事内容が制度の要件を満たしていることを証明する書類として増改築等工事証明書を添付または提出します。
(3)住宅取得等資金の贈与税の非課税措置
住宅取得等資金の贈与税の非課税措置は、父母や祖父母などから住宅の取得やリフォームのための資金援助を受けた場合に、一定額まで贈与税が非課税となる制度です。
この制度を利用する場合、贈与を受けた年の翌年に贈与税の申告を行い、贈与税申告書を作成して特例の適用を申請する必要があります。
申告書には、贈与額や適用する特例などの必要事項を記載します。
その際、リフォーム内容が制度の要件を満たしていることを証明する書類として、「増改築等工事証明書」を添付または提出します。
なお、リフォーム資金の贈与税については、以下の記事でも解説しています。
▸ リフォーム資金に贈与税はかかる?非課税枠やケース別の課税有無を解説
(4)固定資産税の減額措置
固定資産税の減額措置は、一定の省エネ改修やバリアフリー改修、耐震改修などのリフォーム工事を行った場合に、翌年度の固定資産税が軽減される制度です。
対象となる工事を実施し、要件を満たした場合には、一定期間にわたって固定資産税が減額されることがあります。
この制度を利用するには、市区町村への申請が必要です。
申請書には、工事内容や適用条件などの必要事項を記載しますが、その際に、工事内容が要件を満たしていることを証明する書類として、増改築等工事証明書の提出を求められる場合があります。
ただし、申請方法や必要書類の詳細は自治体によって異なるため、事前に確認しておくことが重要です。
なお、多くの市区町村では工事完了後3か月以内を申請期限としているケースが多いため注意しましょう。
期限を過ぎると減額措置を受けられない場合もあるため、事前に市区町村の資産税担当窓口へ確認・相談しておくと安心です。
3.増改築等工事証明書は誰が発行する?
増改築等工事証明書は、誰でも発行できる書類ではなく、法律で決められた発行主体だけが作成できる書類です。
増改築等工事証明書を発行できるのは、以下のような専門機関や有資格者に限られています。
| ・登録された建築士事務所に所属する建築士 ・指定確認検査機関 ・登録住宅性能評価機関 ・住宅瑕疵担保責任保険法人 |
なお、リフォーム会社自体には発行権限がないケースが一般的ですが、建築士事務所として登録している会社や、建築士と連携している会社であれば、証明書の発行手続きまで対応してもらえる場合があります。
対応範囲は会社によって異なるため、リフォームを依頼する際にあわせて確認しておきましょう。
4.増改築等工事証明書の費用相場
増改築等工事証明書を取得する際は、どのくらい費用がかかるのか気になる方も多いでしょう。
ここでは、発行費用の目安や追加費用が発生するケースについて解説します。
(1)発行費用の目安
増改築等工事証明書の発行には手数料がかかります。
依頼する建築士事務所や登録機関によって料金設定は異なりますが、一般的には30,000〜60,000円程度が目安です。
また、省エネ改修や耐震改修など工事内容が複雑な場合は費用が高くなることもあります。
(2)追加調査で費用が変わることもある
現地調査や図面確認が必要になる場合には、追加費用が発生することがあります。
特に、築年数の古い中古住宅では、当時の図面が残っていない、一部しか確認できない、過去の増改築履歴が分からないといったケースも少なくありません。
このような場合は、建物の状況を現地で確認したうえで、工事内容や面積などをあらためて確認する必要があります。
また、証明書作成のために図面の補足作成や追加書類の準備が必要になるケースもあり、通常より費用や発行までの期間がかかることがあります。
そのため、築古物件や中古住宅のリフォームでは、あらかじめ追加費用が発生する可能性も考慮しておくと安心です。
5.増改築等工事証明書の取得方法・流れ
増改築等工事証明書の発行の手続きをスムーズに進めるためには、工事前の確認や必要書類の準備が重要です。
ここでは、取得までの流れを順番に解説します。
| ・工事前に対象条件を確認する ・リフォーム会社で発行できるか確認する ・必要書類を準備する ・発行可能な事業者へ依頼する ・証明書の内容を確認して受け取る |
(1)工事前に対象条件を確認する
実施するリフォームが、増改築等工事証明書の対象工事に該当するか確認します。
特に、耐震・省エネ・バリアフリーなどの性能向上リフォームは対象となるケースが多い一方で、利用する税制優遇制度ごとに対象となる工事や要件が異なるため、内容の確認も重要です。
(2)リフォーム会社で発行できるか確認する
増改築等工事証明書への対応は、リフォーム会社によって異なります。
そのため、リフォーム会社任せにせず、相談時に増改築等工事証明書の発行が必要であることを伝え、以下の点を確認しておきましょう。
| ・減税制度に詳しいか ・増改築等工事証明書の発行が可能か ・発行できない場合、提携する建築士がいるか |
工事内容によっては工事前写真や施工中写真が必要になるケースもあるため、事前に相談しておくことで後の手続きがスムーズになります。
(3)必要書類を準備する
増改築等工事証明書を建築士等が発行するにあたって、申請者(施主)が必要書類を準備する必要があります。
申請者が用意しておく主な書類は以下の通りです。
| 書類 | 内容 |
| 登記事項証明書 | ・法務局で取得する書類 ・建物の所有者確認に必要 |
| 工事請負契約書(リフォーム会社との契約書) | ・工事金額や内容がわかるもの ・工事金額や工事内容を確認するために使用 |
| 補助金関連書類(該当者のみ) | ・補助金交付決定通知書など ・補助金を利用している場合に必要となることがある |
| 設計図書・工事内容資料 | ・図面や仕様書など工事内容が分かる資料 ・リフォーム会社が保有しているケースも多い |
なお、法務局での登記事項証明書の発行には手数料がかかります。
費用は次のとおりです。
| ・窓口請求:600円 ・オンライン請求+窓口受取:490円程度 ・オンライン請求+郵送:520円程度 |
郵送受取は到着まで日数がかかるため、急いでいる場合は窓口での取得、またはオンライン請求後に窓口で受け取る方法が便利です。
また、登記事項証明書以外の書類は、基本的に追加費用がかからないケースが多いですが、紛失時の再発行に手数料がかかる場合もあります。
契約書や補助金関連書類などは、工事完了後もしばらく保管しておくと安心です。
(4)発行可能な事業者へ依頼する
リフォーム会社が増改築等工事証明書の発行に対応していない場合は、自分で建築士事務所や登録機関へ直接依頼する必要があります。
その際は、インターネットで「地域名+建築士事務所」や「増改築等工事証明書 発行」などと検索したり、自治体や業界団体のホームページを確認して対応可能な事業者を探す方法が一般的です。
また、依頼時には必要書類を事前にまとめておくと、手続きがスムーズに進みます。
(5)証明書の内容を確認して受け取る
増改築等工事証明書を受け取ったら、記載内容に誤りがないか必ず確認しましょう。
特に次のような点は確認が必要です。
| ・工事金額の誤記 ・工事内容の記載ミス ・工事完了日の誤記 ・工事場所(住所・建物情報)の誤記 ・建築主(申請者)の氏名の誤記 ・施工業者名の誤記 |
内容に誤りがあると減税手続きに影響することもあるため、十分な確認が必要です。
6.増改築等工事証明書に関する注意点
最後に、増改築等工事証明書に関する注意点を解説します。
手続き自体は複雑ではありませんが、時期や書類の内容によっては思わぬ遅れや手戻りが発生することもあるため、事前にポイントを押さえておくことが大切です。
| ・確定申告直前は証明書作成依頼が集中しやすい ・書類不備や情報のズレに注意する ・施主が主体となって行動する |
(1)確定申告直前は証明書作成依頼が集中しやすい
確定申告の前になると、増改築等工事証明書の依頼が一気に増加し、建築士事務所や発行機関が混み合いやすくなります。
そのため、通常よりも発行までに時間がかかる場合があります。
特に、必要書類の確認や工事内容の照合作業に時間を要するケースもあるため、余裕を持って早めに準備・依頼を進めておくことが重要です。
(2)書類不備や情報のズレに注意する
増改築等工事証明書と確定申告書類の内容が一致していない場合、再提出や修正が必要になることがあります。
そのため、申告書の記載時には以下の点に注意が必要です。
| ・工事金額の相違 ・工事内容の記載ミス ・工事完了日のズレ ・契約書・領収書との不一致 |
なお、増改築等工事証明書は提出先によってはコピーで対応できる場合もあるため、申請内容に応じて控えを用意しておくと手続きがスムーズです。
(3)施主が主体となって行動する
増改築等工事証明書の発行や活用は、リフォーム会社ではなく申請者(施主)が主体となって進める手続きです。
ただし、必要書類の準備や工事内容の確認では、リフォーム・リノベーション会社の協力が必要になるケースも少なくありません。
そのため、リフォーム・リノベーションを依頼する際は、増改築等工事証明書の発行実績があるか、必要書類の準備に対応してもらえるかを事前に確認しておくことが重要です。
特に、住宅ローン減税や補助金制度を利用する予定がある場合は、契約前や工事前の段階で相談しておくと、手続きをスムーズに進めやすくなります。
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増改築等工事証明書を提出することで受けられる住宅ローン減税やリフォーム減税などの経済的メリットは大きく、制度を利用できるかどうかで負担額が大きく変わることもあります。
そのため、しっかりと準備を整えたうえで制度を上手に活用し、コストを抑えながら理想の住まいづくりを進めていきましょう。
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ライフディレクション事業部 設計チーム / 一級建築士 / 既存住宅状況調査技術者
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